2022 Fiscal Year Research-status Report
原発被災市町村復興の担い手となる壮年期男性への生活と健康に関する支援方法の構築
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18K02058
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩佐 有華 (秦有華) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90609132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096) [Withdrawn]
富山 智香子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80359702)
西方 真弓 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90405051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原発災害 / 避難生活 / 被災者 / 壮年期男性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在も原発災害による避難指示継続に伴って広域避難生活を送っている壮年期男性1名の心理的変化及びそれらに影響を与えた事象について混合研究法を用いて分析を行った。質的データはKessler 6 Scale日本語版(以下K6)、睡眠活動計Actigraph、質的データは半構造化面接によって収集した対象者の語りを使用した。分析は、量的データを経時的に記述し、質的データをナラティブ分析し、その後、それぞれの結果を統合した。 分析の結果、対象者は仕事の都合上家族と離れ単身赴任を余儀なくされることで多大な精神的ストレスを感じていた(K6カットオフポイント以上)。その後、早期退職し家族の住む応急仮設住宅に居住したものの、精神状態は以前と悪く(K6はカットオフ前後)、睡眠状況も著しく不良であった(Actigraph結果:睡眠時間170分、睡眠効率49%、入眠潜時122分、中途覚醒時間167分)。その後、委託による農業を再開したことや新たな避難先として、一戸建て中高住宅に転居したことにより、K6はカットオフポイントを超えることは無く、Actigraphでは睡眠時間や睡眠効率が2年前の約2倍となり、入眠潜時は約100分の減少、中途覚醒時間は約2時間の減少した。 避難先の環境、仕事、家族、長期間の広域避難によって対象者が大切に思っていた故郷や仲間、愛着のある家などの喪失が心理状況に大きな影響を与えていたこと、新たな役割、生き甲斐の獲得が心理状況の改善に影響を与えた可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量的データでは被災によるものとCOVID19によるものとを判別することが難しいと判断し、質的データ(インタビュー)を実施する予定であったが、オミクロン株流行拡大によってインタビューを実施することができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は対象者に半構造化インタビューを実施・分析し、これまで収集したデータと統合して総括を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、COVID 19の影響によりデータ収集が行えなかったこと、学術集会がオンラインとなったため交通費が不要であったことによるものある。 次年度の使用計画は、旅費(研究成果発表、データ収集のための現地訪問)、人件費(謝金、翻訳費)、物品費(インタビュー場所の空気清浄機、データ分析ソフト、ノートPC)、その他(必要時新型コロナウィルス抗原検査キット等)に使用する予定である。
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