2018 Fiscal Year Research-status Report
相談者ニーズに沿った包括的効果尺度を用いた効果的な心理療法のモデル化に関する研究
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18K02141
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 宏平 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (60369139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 啓三 東北大学, 教育学研究科, 名誉教授 (70149467)
若島 孔文 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60350352)
生田 倫子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (10386386)
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10418585)
横谷 謙次 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (40611611)
狐塚 貴博 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (00739526)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 効果研究 / システマティック・レビュー / メタアナリシス / 短期家族療法 / 解決志向ブリーフセラピー / 測定尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①心理療法の効果を包括的に捉える尺度の開発、②心理療法場面のコミュニケーション分析による実効性の高い心理療法が有する共通要素の抽出を通じて、より効果的で効率的な心理療法のモデルを提示するとともに、モデル化した心理療法を③実際の対人援助場面で適用することによりその効果を実証的に検討することである。 初年度となる平成30年度は、クライエントの具体的な問題解決や実生活での満足度を含めた包括的な測定尺度を開発することを目的として、①国内外の心理療法のエビデンスに関する研究(メタアナリシス、システマティックレビュー)の動向について検討するとともに、②海外における短期家族療法、および解決志向ブリーフセラピーの効果測定に関する主要論文、主要著書に関する文献レビューを行い、③効果測定のための指標となる項目に関して予備的に検討するとともに、④各研究において使用された技法の効果について適用された問題との関連を踏まえた上で検討した。 また、上記に加え、解決志向ブリーフセラピーの効果測定にも使用され、14項目(5件法)から構成されるSolution Building Inventory(SBI)日本語版の項目改定を試みた。確認的因子分析の結果より1因子構造であることが確認されるとともに、尺度の併存的妥当性や信頼性も十分な値が得られ、新たに項目を改定したSBI-R日本語版の妥当性、および信頼性が確認された。今後、短期家族療法並びに解決志向ブリーフセラピーの効果を検討する際の測定尺度の一つとして使用されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度となる平成30年度は、国内外における短期療法に関する論文、著書の詳細なレビューを通じて、各研究において用いられている技法の効果と問題との関連について検討する。またレビューを通して、効果測定尺度の項目の選定し、包括的な効果測定尺度を開発することを目的とした。 そのため、欧米における心理療法の効果研究、メタアナリシス、システマティックレビュー等の動向や短期家族療法の効果研究に関する分研究を行った。 また、短期家族療法からとも関連の深い解決志向ブリーフセラピーの効果研究等で活用されているSBIの日本語版であるSBI日本語版の項目の見直しを行い、新たにSBI-R日本語版を開発した。 したがって、平成30年度に予定していた研究目的はある程度達成されていることから、概ね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
面接場面のビデオ分析を通じて効果的な心理療法の効果的コミュニケーションについて検討するため、面接場面のコミュニケーション分析を通して、クライエントの問題解決にとって、効果的な心理療法を進行させるコミュニケーションをターゲットとする。さらに、効果測定尺度による面接の効果測定を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、①研究の打ち合わせを他の研究費にて旅費支出することが出来たため、支出予定していた旅費の節減ができたことに加え、②初年度は研究の動向の確認を行ったが、実際の面接のプロトコルを作成せずに済んだため、人件費に余剰が生じた。 次年度、旅費および人件費については、使用目的に沿った形で消化する予定である。
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Research Products
(1 results)