2019 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー食中毒予防のための食品内ヒスタミン除去に関する研究
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18K02224
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
新田 陽子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70403318)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒスタミン食中毒は、鮮度の低下等によりヒスタミンが多く蓄積された食品を喫食した場合に生じるアレルギー様の食中毒である。ヒスタミンは無色無臭であり、汚染食品を事前に見分けることは困難である。さらに、通常加熱で分解されないため、加熱以外の対策が求められている。ヒスタミンは水溶性であり、下ゆでや浸漬によってヒスタミンを食品から除去できる可能性がある。また植物にはヒスタミン分解酵素を有するものが知られており、その酵素によって食品中のヒスタミンを分解できる可能性がある。そこで、食品中に蓄積したヒスタミンを下ゆで、浸漬または植物由来のヒスタミン分解酵素により除去する方法について検討した。 イワシのつみれにヒスタミンを添加し、下ゆでや浸漬することによってヒスタミンが除去されるかを調べた。下ゆで試験は、濃度100ppmで30秒~30分間の下ゆでを行い、浸漬試験は24時間の浸漬を濃度100、200、500ppmで行った。また、豆苗の酵素液を作製し、そこにヒスタミンを添加し反応させることで、ヒスタミンが分解されるかを調べた。酵素反応試験はヒスタミン濃度100ppmで、15~60分間反応させた。 下ゆで試験では、ヒスタミンの残存率は50~70%に低下した。浸漬試験では、全ての濃度でヒスタミン残存率が低下し、100ppmと200ppmでは約40%と食中毒レベル以下まで低下した。下ゆでと濃度100ppmでの浸漬のヒスタミン残存率を比較すると、浸漬の方が残存率が低いことから、浸漬の方が有効であると考えられた。 酵素反応試験では、反応時間に従って、ヒスタミン残存率の減少傾向が見られた。豆苗にはヒスタミン分解酵素が含まれ、ヒスタミン濃度を低下させる効果があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食品中に蓄積したヒスタミンを下ゆで、浸漬または植物由来のヒスタミン分解酵素により除去する方法について検討し、ある程度の効果を確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
豆苗のヒスタミン分解酵素を用いたヒスタミン除去について、最適条件を探索する。ヒスタミン除去について他の方法についても検討する。
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Causes of Carryover |
試薬類の購入に想定よりも多額を必要としたため。
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