2020 Fiscal Year Research-status Report
在外教育施設の教育・運営の実態調査:学習指導要領改訂時の課題と遠隔討議による改善
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18K02391
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
金子 浩一 宮城大学, 事業構想学群, 教授 (10367419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在外教育施設 / 日本人学校 / 補習授業校 / 継承語学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校の学習指導要領の改訂後の初年度になるため,教科書を中心とした文献調査により,新旧の相違点について具体的に確認した。また,それをもとに模擬取引が多くの学校で実践できるように検討した。 国内および海外での訪問聞き取り調査は実施が難しかったため,継承語学校の小学部の児童に対してSkypeで試行した際の様子を振り返り,日本語で話しながら算数や社会を同時に学習する手法について検討した。内容は中学社会・高校公民の比較生産費説であるが,貿易ではなく物々交換として平易化した。小学生でも理解できるようにルビがふられた用紙を準備した状況なども含め,他の学校でも実施できるよう論文にまとめた。継承語学校での実践では対象が二人であったので,一対一の模擬取引を実施したがスムーズに行うことができた。これは,現地講師が事前に必要な言葉などを教えていた点も影響しており,事前レクチャーがない場合や人数が増加した場合に機能するかどうかの問題を今後検討しなければならない。 実際に比較生産費に関する模擬取引を実践する動画も,リサーチアシスタントが実際に実践する形で録画し,作成した。小学部において,取引する両者を対等な関係(貿易であれば得手・不得手が正反対で生産能力は同一)として平易化し,扱うカードの枚数も6枚ずつとして計算が複雑にならないように工夫した。パターンとして,交換せず自給自足の形をとるもの,相互にカード(生産能力)を見せながら協力して交換するもの,相互にカード(生産能力)が見えないように交換するものの3つを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度には,模擬講義の動画の作成などを,小学校向けで平易な水準にして作成することができた。しかしながら,海外や国内での訪問聞き取り調査の実施が,コロナ禍であまり進まなかった。今後のワクチンの接種状況も見つつ,ZOOMなどを用いた遠隔での聞き取り調査も検討し,研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
学習指導要領改訂に関しては,令和3年度から中学校で新しい教科書が導入されるため,文献調査を引き続き行っていく。特に補習校でも扱われやすい国語・社会・数学の内容推移について明らかにする。 海外の児童・生徒向けの模擬取引の開発に関しては,小学校向けで検討したことを高度化し,中学・高校で活用できるようにしていく。中学や高校の公民では,比較優位だけではなく,絶対優位の概念についても学習するが,カードの枚数が不平等でかつ多くなる。これらを実演する動画を今後作成し,学校段階ごとに難易度を変え,日本語を学びながら数学・社会の内容も考察しうる手法を確立させる。 海外での訪問調査については,コロナ禍の改善状況を見ながら,年度後半に訪問可能な国・地域を選択し,実施していく。学習指導要領改訂に際し,副教材の入手に遅延がなかったかなど確認する。また,当初の目的にはなかった内容であるが,コロナ禍で,対面あるいは遠隔授業がどのように行われたかも調べていく。最終的にアンケート調査を実施する際に,どのような質問を構成したらよいか,研究協力者とも議論しながら検討していく。
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Causes of Carryover |
海外への訪問聞き取り調査を実施する予定であったが,令和2年度にはコロナ禍で実施できなかった。それに伴い,謝金の利用も予定より少なくなった。日本および海外でのワクチン接種の進捗具合を見ながら,これらは令和3年度に利用していく。
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Research Products
(1 results)