2021 Fiscal Year Research-status Report
在外教育施設の教育・運営の実態調査:学習指導要領改訂時の課題と遠隔討議による改善
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18K02391
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
金子 浩一 宮城大学, 事業構想学群, 教授 (10367419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在外教育施設 / 日本人学校 / 補習授業校 / 継承語学校 / 遠隔討議 |
Outline of Annual Research Achievements |
新課程の中学校の教科書が出版されたので,特に補習授業校で活用できる内容について文献調査を行った。ある教科書では,需要に際して希少性の概念が説明されていた。財の希少性は国によって異なり,海外で学習する題材として適切である。また,比較生産費説については,一部の教科書では継続して数値表を用いて説明されていることが分かった。模擬取引の方法について過年度に既に考案しているが,今後も活用可能である。 また,海外の派遣から帰国した複数の教員から,現地での学習状況について課外活動も踏まえて聞き取り調査を行った。国際結婚の子女が増加している日本人学校では,授業と別に日本語の補習を行っていた。学年が進行すると,日本語に不自由する児童が減っていく傾向があり,補習授業校とは逆の傾向があった。これは,全日制であることが強く影響している。ある学校では,実際に日本で生じた事象について複数の教員で寸劇を実演し,道徳として児童に考えさせる事例があった。単に書面で読む以上に理解が進むため,国語が得意でない児童の理解が増すことが確認された。日本人学校では,現地校との交流で国際理解を深める学習が可能であるが,いかに両校の都合を合わせるかが課題になる。実施が難しい中で,昼休みの時間を使って,近隣のインターナショナルスクールと交流した経験なども聞くことができた。 その他,過去の補習授業校に対するアンケート調査の結果のうち,自由記述回答の分析を行った。内容別に分けると,多かった上位3項目は,「講師確保に関すること」,「運営や財源に関すること」,「児童・生徒の確保に関すること」であった。これらの分析内容は,学会で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は,国内での訪問調査はある程度行える状況であったため,日本人学校への派遣から帰国した教員に聞き取り調査を行った。ただし,補習授業校に派遣されていた教員には十分な調査は行えなかった。また,海外での訪問調査は,コロナ禍の影響があり,年度内には実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外への渡航が容易になれば,この2年間できなかった日本人学校や補習授業校への訪問調査を実施する。新学習指導要領下での教科書・副教材は,小学校では2020年度,中学校では2021年度に始まったが,現地での入手の状況を確認する。本研究計画を立てた際には予見できなかったコロナ禍の影響も含め,遠隔講義の実態なども確認する。アンケート調査についても,コロナ禍の影響も加味して質問や選択肢の策定を行う。
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Causes of Carryover |
海外への訪問聞き取り調査を実施する予定であったが,令和3年度はコロナ禍で実施できなかった。それに伴い,謝金の利用も予定より少なくなった。日本および海外でのワクチン接種の進捗具合を見ながら,これらは令和4年以降に利用していく。
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Research Products
(1 results)