2018 Fiscal Year Research-status Report
国際的学際的方法による社会情動的スキルを核とする幼小を繋ぐ非認知能力の評価法開発
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18K02469
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
大橋 節子 (大橋節子) 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (80713073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 朋生 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (30413511)
上田 敏丈 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (60353166)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非認知能力 / 社会情動的スキル / ニュージーランド保育 / テ・ファリキ / ラーニング・アウトカム / ラーニング・ストーリー / 評価法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児期から小学校低学年の子どもたちを対象とする社会情動的スキルを中核とする非認知能力の評価法開発をめざしている。2018年度は、その手がかりとして質的な評価が先進的なニュージーランドの保育カリキュラム「テ・ファリキ」に関する現地調査と理論研究を展開した。 テ・ファリキは、ニュージーランド初のナショナル保育カリキュラムとして、1996年に策定された。その特徴は、4つの原理と5つのストランドを重ね合わせる織物(テ・ファリキ)のような保育原理や学びの物語(ラーニング・ストーリー)といった保育記録にある。本研究では①テ・ファリキ作成者へのインタビューと②5つの保育施設の保育参観を行い、社会情動的スキルを中核とする非認知能力「評価法」の先行事例として分析を行った。 ①テ・ファリキ作成者インタビューから、1996年版テ・ファリキは「赤字評価主義(Deficit approach)」から「黒字評価主義(Credit approach)」への転換を図った上でラーニングストーリーを中心とする形成的評価をはじめたこと。さらに2017年版では「学びの到達点の明確化と精選」を行い、評価規準がかつての118から20に精選されたことが明らかになった。②ではニュージーランド現地の5つの保育施設に訪問し、園長または主任クラスの責任者へのインタビューと保育観察を実施した。各園では、入園児の概要、主な保育理念、テ・ファリキの活用状況、新テ・ファリキへの意見、ラーニング・ストーリーの運用状況、保育の特徴、特徴的な取組み等について調査を行った。特にラーニング・ストーリーについては、形成的評価の柱として、担任保育者・保護者・子どもの三者が協働して作成する記録であった。 本研究では、上記した20の評価規準及びラーニングストーリの記録法を、非認知能力「評価法」の先行事例として分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では入念な事前準備を重ねて、2018年5月にニュージーランド現地調査を行った。さらに帰国後、調査内容と理論分析を行いその成果を、2018年10月に審査合格論文として公表することができた。さらに10月以降もテ・ファリキのラーニング・アウトカムの分析等を順調に続けている。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2018年度に引き続きニュージーランドにおける社会情動的スキルの評価法の分析を進めて研究成果をまとめていく。さらに2019年度は、社会情動的スキルの指導計画及び目標に準拠した評価法の開発の先行事例として、米国におけるキャラクターエデュケーションに注目する。特に「自己肯定感」「協力」「忍耐力」といった社会情動的スキルに関連のある学習領域の理論研究を行う。米国のキャラクターエデュケーションに注目する理由は、教科教育と連携しながら社会情動的スキルを育成する具体的なプログラム及び「ルーブリックを活用した評価法」を開発し、分析対象とする豊富な資料が入手可能なこと。さらに多くの州では、K学年から12学年までの発達をトータルに見通したカリキュラム編成を行い、幼児教育と初等教育をつなぐ役割をK学年が明確に担っていることの二つの理由がある。本研究グループには、すでに米国の現地調査と市民性育成の視点から米国キャラクターエデュケーションに関する研究の蓄積もある。2019年年度も積極的にアメリカ研究を展開していく。
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Causes of Carryover |
ニュージーランド調査に関する費用を抑制したため。
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Research Products
(2 results)