2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02485
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池谷 和子 長崎大学, 教育学部, 准教授 (50622693)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 文美恵 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (50433058)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 子どもの貧困 / 定義 / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず「子どもの貧困」の定義についてであるが、昨年度の研究において(1)「大人の貧困」の定義をそのまま流用しては実態が掴めなくなること、(2)江戸川区や松山市での様々な行政機関や民間のグループをフィールドワークした結果、①単に世帯の収入のみに着目するのではなく、「子どもの成長の為にどれだけお金が使われているか」、②「子どもの成長とは決してお金の問題だけではないことに配慮すること」という大人の貧困とは明らかに異なる2つの性質を洗い出したが、当該年度においては、それらを踏まえ、3名の共同研究者が「公法的」「私法的」「少年司法的」観点から再検討を行った結果、「一定の地域社会の中で生活する際に、その子どもを健全に育成するに必要なもの・機会を確保するために、お金が十分にかけられていないこと」が子どもの貧困の定義として妥当であるとの結論に至った。その上で、昨年度のフィールドワークの状況、子どもの貧困に対する法制度の現状を整理し、それらから導き出した子どもの貧困の定義について、共同で論文を執筆した。 つぎに本研究の2つ目の課題である実態調査方法を検討するにあたって、「子どもの貧困」が問題となっている欧米各国の実態調査の状況について文献調査を行った。そこから、(1)実態調査を行うにあたっては、「指標」が非常に重要となってくること、(2)他の国々よりも、イギリスにおいてかなり綿密な実態調査が長期に渡ってなされてきていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は、大きく分けて2つあるが、そのうちの「定義」については、すでに「一定の地域社会の中で生活する際に、その子どもを健全に育成するに必要なもの・機会を確保するために、お金が十分にかけられていないこと」として結論づけることが出来、すでに共同での論文発表も完了した。 加えて、もう1つの「実態調査方法」についても、「指標」の重要性について洗い出したこと、また、どのような点を「指標」とすればより正確な実態調査が出来るのか、どのようなやり方で実態調査を行なえば適切か等、イギリスという参考になりそうな国を発見できたことは、本来であれば「計画以上」とも言えるかもしれない。 しかしながら現在、新型コロナウィルスの為に、県を跨いでの出張が出来ず、遠隔による会議や検討には限界がある。それゆえ、「おおむね順調」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究で得られた「子どもの貧困」の定義を基に、より正確な実態調査を行えるように、その方策を検討し、共同で論文として執筆する予定である。 具体的には、イギリスの「法律」、「指標」や「調査方法」について、日本とイギリスの違いを踏まえた上で、「公法的」「私法的」「少年司法的」観点から検討を行い、日本における「子どもの貧困」の実態調査の為に、より良い方法を明らかにするように探っていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの関係で、県外出張が禁止され、共同研究者と実際に会って検討をすることが出来なかった。遠隔での会議では限界がある為、次年度、出張が可能になった時に使用したい。
|