2019 Fiscal Year Research-status Report
保育者としての洞察力と応答性の育成:養成校と保育現場による評価ルーブリックの開発
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18K02506
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
多川 則子 名古屋経済大学, 人間生活科学部教育保育学科, 教授 (90435298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 みのぶ 名古屋経済大学, 人間生活科学部教育保育学科, 教授 (90369570)
堀 美鈴 名古屋経済大学, 人間生活科学部教育保育学科, 特任教授 (10793391)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 洞察 / 応答性 / 保育者 / ルーブリック / 愛着 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目である2019年度においては、(1)保育者養成段階で実践された課題等の分析を通じ、洞察力と応答性の獲得過程を検討すること、(2)現職保育者の実践記録(録画)を用いた分析を通して洞察力と応答性を同定することが計画されていた。 (1)については、短大2年次の最後の保育実習での「エピソード課題」を選択し、質的分析を行った。洞察と応答性についての記載の有無を分析した結果、子どもの感情への気づきはあるが、最後の実習とはいえ、子どもの感情に基づく共感的対応は困難であることが分かった(多川・関谷・堀, 2020a)。また、別の学年のエピソードに対し、M-GTAを用いた分析を行った。概念の定義について「子ども」「学生」「保育者」の三つの観点に分け、概念の生成を試みた。その結果、子どもに関しては、単純な気づきから内面に関する気づきまで、保育者については、内面支援や保育者の専門性への気づきなどの多様な概念が生成された。学生については、気づきに対し考察をする、試行錯誤を含め実際に対応行動をとる、それが共感的対応へつながるという学びのプロセスが想定される概念が生成された。(多川・関谷・堀, 2020b)。 (2)については、2歳児保育を中心に保育実践を撮影したものから、3年目に予定している、洞察力と応答性を身に付けたと思われる保育者へのインタビュー調査と同じ保育者の実践を分析対象とすることとした。実践映像の分析考察までは届かなかった。そのため、3年目である2020年度は計画を修正し実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「エピソード課題」の質的分析に関して、3名の研究者それぞれの視点を大切にし、丁寧に何度も分析を修正し行うこととした。そのため、かなりの時間を要し、保育実践映像の分析にまで到達しなかった。専門分野や現職経験の有無に多様性のある我々の研究グループにおいて、丁寧な調整の方が重要だと考えたためである。ルーブリック作成の資料として貴重な研究結果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
保育者養成段階における検討については、さらにエピソード分析を進め、洞察の広がりや深まりと応答性の程度について、実習経験(学年進行)による系統的な変化があるかについて検討する。また、現職保育者の2歳児保育実践映像について、子どもの欲求と養育者の思いのずれをどのように調整するかという観点から分析する。また、同じ保育者に対しインタビュー調査を行い、洞察と応答性の獲得プロセスを探る。これらの分析結果を基に、ルーブリック評価を作成する。 現在、新型コロナ感染拡大の影響が甚大である。研究対象が、保育現場であることや、学生の実習であることから、次年度の研究について大きく影響を受けることが予想される。必要に応じて研究計画の修正をし、実施できることから行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、発表を予定していた学会が中止となり、旅費の支出がほぼなくなった。データ入力委託費も当初の予定よりも少額で実施できた。次年度は、主に、保育者養成関連の学会参加費及び旅費、データ入力委託費、報告書の製本印刷費に使用予定である。
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Research Products
(4 results)