2018 Fiscal Year Research-status Report
美術教育における映像メディア表現の扱いに関する理論構築と指導方法の開発
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18K02526
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
渡邉 美香 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30549100)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 美術教育 / 映像メディア表現 / 時間・空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々なメディアが普及浸透する今日の教育現場において、美術教育における映像メディア表現の扱いに関する理論と実技指導方法を開発構築するものである。子どもの身体・知覚・精神の発達に基づいた感性や創造性を育む題材の開発において「素材の特性を枠組みとして伝える」という教育の手法を用い、メディア題材の日本及び諸外国での授業実践事例を収集分析し指導支援に関わる理論構築を目指す。 本年度は、5月~6月に附属小学校5年図工科において映像プロジェクションの手法を取り入れた授業「空間を感じてみよう ~面から空間へ~」を実施した。光と音の空間造形、時間―空間を体験するマルチメディアの特性、子どもの経験から引き出される興味発想の受け皿の拡張、高学年造形遊びに加わった「空間」に関わる体験について考察し、その内容を6月7日、台湾高雄市の教育委員会が主催する2018藝術興美感教育国際論壇(駁二芸術特区蓬莱倉庫(The Pier-2 Art Center))の招待講演にて発表した。(Image media expression in art education) また、6月及び8月に「インドと日本の小中学校交流のためのプログラム」として、インドの美術教師と附属学校教師による文化交流授業を実施し、その際のメディアの扱いについて検討した。本プログラムについては、2019年度『美術科研究』にて発表予定である。 諸外国のメディア題材事例収集においては、11月6日中国河北省唐山胥各荘小学校6年美術科において、映像メディア表現の題材「挑戦 定格動画(Stop motion animation)」を実施し、はじめてストップモーションに取り組む子どもの様子を観察した。また、10月にイタリア、アトリエスタのメディア表現実践資料収集、平成31年2月にニューヨークの学校視察において、メディア題材の資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間で、メディア題材の日本及び諸外国での授業実践事例を収集分析し、指導支援に関わる理論構築を目指す。同時に小学校中高学年児童から中学校生徒を対象としたメディア表現題材の実技指導方法を開発する。 一年目となる本年度では、附属小学校5年児及び中国の公立小学校6年児での映像メディア題材による授業を実施し、子どもの身体・知覚・精神の発達に基づいた感性や創造性を育む題材の検討を行った。その成果を国際会議の場で発表することにより、現場教員(国内外)と教材の検討を進めることができた。また海外文化交流におけるメディアを活用した授業についてインドの教育現場との交流を中心に検討した。これについては、2019年度に雑誌で発表する予定である。 諸外国の授業実践事例収集においては、イタリアとアメリカ(ニューヨーク)の教育現場に関する情報を収集し、今後映像メディアに関する教材を検討に着手するための材料を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、平成30年度に引き続き、諸外国の授業実践事例収集を行うとともに、これまでにに収集したイタリア、アメリカ(ニューヨーク)の教育現場に関する資料をもとに、映像メディアに関する教材指導支援に関わる理論構築を行う。特に子どもの表現の変化や成長を確認し、その制作を支える理論を浮かび上がらせる。また、アメリカ(ニューヨーク)の事例については前年度収集できなかった資料に関する追加調査を行い、同時に国内での映像メディア表現を用いた実践を収集する。 前年度に引き続き、国内外小学校中高学年~中学校で継続的に映像メディア表現を扱う授業を実践(研究協力者による)し、参与観察から以下指導方法検討の2観点をもとに造形における子どもの経験の広がりの考察、素材について検討し、子どもの成長発達に応じた指導方法を開発する。 1)誰もが映像メディア表現教材をもとに自分を表現できるか(その人らしさ・感情が表れる媒体となっているか)、特に制作過程に学習者の判断・気質(感性・身体性)を必要とする場面があるか。 2)映像メディア表現を通して新たな見方の獲得が可能か、特に映像メディアがもらたす思考が現代社会を生きる力になるか。
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Causes of Carryover |
平成30年度、アメリカでの学校視察、資料収集において連携研究者の同行を予定していたが、体調不良により渡航ができなかった。連携研究者の調査対象分野に関する資料収集については、体調が回復したため、次年度追加調査を実施する。
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