2018 Fiscal Year Research-status Report
社会や自分との関わりで古典を生かすための古文読解モデルと授業方法、評価指標の開発
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18K02580
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
武久 康高 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (70461308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 茂樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (20737837)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 古典教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「社会や自分との関わりの中で古典を生かしていくという観点が弱く、学習意欲が高まらない」といった古典教育の課題を解決することである。そこで本年度は、高等学校における古文学習の入門期に養うべき「読解力」を明らかにした上で、そうした「読解力」を育成評価するための単元案を作成した。 (1)『枕草子』「春はあけぼの」について:本教材は中学校の定番教材である。まずは以下のような作品分析を行い、学会誌に投稿した(「春はあけぼの」にある「あかりて」の解釈は「明かりて」説が有力であるなか、「赤りて」と解釈することで「やうやう」以下の春の情景が漢詩文における「霞」の景として読めること、またそのことによって本章段は、冒頭の「春はあけぼの」という表現から読者に和歌世界における「霞」を連想させつつ「やうやう」以下の情景を漢詩文世界の「霞」に基づき表現していること)。次に、以上のような「春はあけぼの」の表現特性を、作品が成立した時代の資料との関係を踏まえつつ生徒が探究していけるような単元を作成した。さらに高等学校の国語科教員と連携して、この単元を高等学校における古文学習の導入単元とし、来年度に実践する準備を行った。 (2)『宇治拾遺物語』「絵仏師良秀」について:本教材は高等学校「国語総合」の定番教材である。まずは「絵仏師良秀」の語り手が「絵仏師良秀」の話からどのような「意味」を見いだしたのかについて、仏画の意義や不動明王像の変遷、哲学的概念などの情報とテキストの叙述とを関連づけて読解することで明らかにし、学会で発表した。次に、そうした「絵仏師良秀」の表現特性を生徒が自ら探究していけるような単元案を作成した。さらに高等学校の国語科教員と連携して、この単元を高等学校における古文学習の入門期の単元とし、来年度に実践する準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は【課題】として挙げた「教科書の古文教材を使い、「読解力」の育成に向けた課題解決活動を構想し、そこでの評価指標を開発する」ため、主として2つの古文教材についての教材研究を行った。 (1)高等学校の「国語総合」における定番教材である『宇治拾遺物語』「絵仏師良秀」に関する教材研究を行い、学会発表を行った。さらにそこでの教材研究をもとに、来年度に授業を行ってもらう広島市の私立高校の国語科教員とともに「読解力」の育成に向けた課題解決型授業を構想した。 (2)中学校の定番教材である『枕草子』「春はあけぼの」に関する作品研究を行い、全国査読誌に投稿した。またそこでの作品研究をもとに勤務校で課題解決型の授業を行い、論文としてまとめた。さらに、来年度に授業を行ってもらう広島市の私立高校の国語科教員とともに「読解力」の育成に向けた課題解決型授業を構想した。なお、この教材は高等学校の古文学習の導入として位置づける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。 広島市内の私立高校で6月に『枕草子』「春はあけぼの」、7月に『宇治拾遺物語』「絵仏師良秀」の実践を行う。そこでの成果と課題について分析を行い、8月と11月の学会で発表する。
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Causes of Carryover |
今年度は年度末に予定していた出張に子どもの急病のため行けなくなった。 次年度は広島の私立高校で共同して授業を行う(6月~7月)ため、そこでの旅費に使用する。
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Research Products
(2 results)