2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of classical literature reading comprehension models, lesson methods, and evaluation indicators for utilizing classics in connection with society and oneself
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18K02580
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
武久 康高 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (70461308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 茂樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (20737837)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 古典教育 / 古典を活かす学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「社会や自分との関わりで古典を生かす」観点が弱く、学習意欲が高まらないとする古典教育における長年の課題を解決することである。そのために、(1)「古典を生かす読み」を含む古文読解に関わる学力構造のモデルを作成し、(2)(1)に位置付けた読解力を育成評価する授業案と評価指標の開発を行った。 本年度は(1)について学会で発表した。まず、古文の読解を水準ごとに整理し、そこに「古典を生かす読み」を位置付けた。次に、従来実践されてきた「生かす読み①」の問題点を指摘し、社会や自分との関わりにおいてより有効な「生かす読み②」のあり方を提案した。今までこうしたモデル化はなされなかったため、学力の構造に沿った評価がなされず、授業方法として一般化しなかった。その点で、本モデルを作成した本研究は古典教育研究にとって意義をもつものである。 また(2)に関しては、本年度を含む3年間で7単元の授業を行い、評価指標を作成した。 そこで行った「生かす読み②」とは、「社会や自分との関わりで古典を生かす」ため、高校生が考えたくなるような現実世界の問題を取り上げ、それに対する他者の見方の表れとして古典教材を捉える。その上で、叙上の見方をする古典教材や取り上げた現実世界の問題について自分の考えを書くというものである。またそこでの評価は、①「現実世界の問題」に対する語り手の認識が捉えられているか(水準1・2)、その上で ②それがテクストの表現を根拠としたものか(水準3)、③「現実世界の問題」への新たな視点を提示しているか(水準4)という基準を設定した。こうした指標の作成は、「古典を生かす読み」を広く実践していく上で重要な作業であり、授業後の生徒の授業評価も概ね好評であった。 以上のことから本研究は、全国の古文授業の改善に資すると共に「古文に対する高校生の学習意欲の向上」への一定の効果があったと考えられる。
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Research Products
(3 results)