2019 Fiscal Year Research-status Report
Approaching to the global standard in education for professional librarians in schools
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18K02592
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
中村 百合子 立教大学, 文学部, 教授 (80411057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英嗣 大阪教育大学, その他, 副学長 (50200415)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校図書館 / 学校図書館専門職 / 専門職養成 / 情報リテラシー / 司書教諭 / 学校司書 / 児童サービス / 大学間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年8月4日(日)に,札幌のモエレ沼公園で国際シンポジウム「Road to the Future: School and Children's Librarianship 子どものための図書館サービス専門職養成の国際動向」を開催した。続く5日,6日にも登壇者らと協議の機会をもつことができ,2020年度秋学期に各登壇者が責任者である4大学のプログラムで「International Children's Literature」の授業実施において連携することが決まり,シラバス作成を手はじめに,共同授業計画に着手した。 シンポジウムの登壇者には,前年度までの調査をふまえ,学校図書館で,また公共図書館で児童向けのサービスに携わる専門職員を全面的にオンラインで養成し修士号を授与するアメリカ合衆国,カナダ,スペインの大学のプログラムの責任者を迎えた(加えて研究代表者も登壇した)。それぞれのプログラムは組織構造,カリキュラム,双方向性,学生数,学費等に特徴があったが,共通して,履修生の国籍は多様であり,国際的な視野をもった教育内容で,学校図書館の専門職については教育学と図書館情報学をともに学修することを求めていた。 各プログラムの特徴は次のとおりである。サンノゼ州立大学は図書館情報学大学院の"情報専門職"養成という大きな目標のもとでプログラムが運営されていて大変,未来志向である。アルバータ大学のプログラムはカナダで唯一の学校図書館専門職養成の修士号プログラムといってよい存在で,教育学のもとに置かれる。毎年約10名が修了する規模ゆえ,小クラスの授業や演習が実現している。バルセロナ自治大学は,児童文学や学校図書館についての五つのプログラムに関わっている。うち三つが修士号の学位を授与するものである。三つがオンラインのプログラムで,二つはブレンディッド・ラーニングの形態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を開始した2018年度に諸外国の学校図書館専門職養成担当者とコンタクトしコミュニケーションをとって,関係者の相互理解を深める必要性を強く認識した。そこで計画を若干改めて,夏に日本で国際シンポジウムを開催した。開催にあたっては,藤女子大学の下田尊久特任准教授に多大なるご協力をいただいた。さらに,白百合女子大学の今井福司教授らのご尽力により,同シンポジウムはyoutubeで同時中継され,以後も録画が公開されている。後日,英語によるシンポジウムの全編逐次録作成・公開に取り組んだ(公開中の動画は逐次録公開後と差し替える格好で削除予定)。同時に,逐次録を元にした出版企画をし,出版社を決定して日本語の書籍として研究成果発表の計画をたてた。また,国際シンポジウムの翌日と翌々日に,登壇者が責任者を務める各プログラムの事情を考慮した協議を招聘した登壇者らで行い,国際連携カリキュラムの実現にむけて模索が行われた。その後も共同作業を継続している。 また,2018年度から2019年夏過ぎまでの研究の経過と成果は,国際学会(The 48th Annual Conference of the International Association of School Librarianship)にて報告を行った。 上記のように国際的な共同研究による学校図書館専門職養成のグローバルスタンダードへの接近というアプローチは順調に進んでいるが,一方で,国内の教員養成高度化の各種の取り組みに学校図書館専門職養成を接続することの主として理論的な検討が不十分な状態になっている。これについては,上述の日本語の書籍出版に1章を盛り込んで議論する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,「International Children's Literature」に関わる授業のシラバスの共同作成を進めている。その内容を2020年夏に国際会議で発表するべく共同で発表申込を行ったが,新型コロナウイルスの蔓延により同会議が中止となって,発表の機会を得られる見とおしがたっていない。ただし,2020年度秋学期に立教大学大学院を含め,全登壇者のプログラムによる授業連携は完全に予定どおりとはいかないまでも何らかの形で実現するべく,シラバスの共同作成作業は進めている。また,その成果は国際的な学術雑誌に論文として発表する予定である。 一方で,日本語では本科研費研究の成果を2020年度中に書籍として出版予定として,現在,原稿執筆中である。同時に,本研究の成果を発表するウェブページを開設して情報公開をはじめる予定である。
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Research Products
(19 results)