2021 Fiscal Year Research-status Report
イギリス現職教育にみる文学の省察的読みの力を育む対話型小中連繋学習指導プログラム
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18K02620
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
松山 雅子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (50173927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス国語科現職教育 / 文学の対話型学習指導 / UKLA / CLPE / EMC / 書くことのマルチモーダル・アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ状況下にあって、元来の計画に沿ったイギリス中学校現職研修参加および授業参観型調査、アンケート調査は行うことはできず、リモート研修参加、メールによる質疑に留まり、文献調査研究を中心に考究を進めている。 限られた研究成果ではあるが、コロナ禍で一層、自己内対話の必要性が求められている状況を鑑み、もともと最終年度に計画していた学校現場への研究成果の還元を意図した概論書をまとめ、刊行した。拙編著『書くことの力をはぐくむマルチモーダル・アプローチ ―自己認識としてのメディア・リテラシーをめざして』(渓水社、2021.8.31、全301頁)には、コロナ禍でさまざまに学習指導にかかわる小中高校の教員、大学研究者のご協力を得、実践的提案と下支えする基礎理論を併せ持つ内容を工夫した。書くことを軸にしたテクストとの対話、自他との交流をはかる国語科学習指導をめざし、小中高校の教員を主なターゲットオーディエンスとした実践的提案の書である。、 また、文献調査を踏まえ、口頭発表ならびに研究論文投稿を行った。口頭発表「内ロンドン小学校国語教育センターの試み(21)-イギリス現職教育にみる小中連繋国語科学習指導の一事例 義務教育到達点で求められる長編小説の受容」(大阪国語教育研究会(オンライン開催,2021.9.26)、研究論文「イギリス現職教育にみる文学享受のはぐくみ ー義務教育到達点としての19世紀長編小説」(『国語教育学研究誌』32号、大阪教育大学国語教育研究室・編刊、2022.2,pp.37-49)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリス多言語文化社会を背景とし、学習者の主体的な読みを軸に、文学の体系的学習指導モデルを提案し続けているイギリス中等国語科現職教育機関English Media Centreの試みを、理論と具体的活動の両面から捉え、初等現職教育機関Centre for Literacy in Primary Educationからの連携を見通すことで、文学の体系的学び、文学にかかわる資質・能力をとらえる手掛かりを得ようとする研究構想であった。コロナ禍で、実地検証が思うに任せぬまま時間が過ぎてしまい、文献考察中心の研究にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実地研究調査の可能性はまだ見えづらいが、コロナ禍でさまざまに腐心されてきたイギリス現職教育機関も新たな試みが少しずつ軌道に乗ってきたように見受けられ、センター長ならびに教師用の学習指導概論書担当執筆者とリモートインタビューを願い出たいと考えている。これまでは、お互い、目の前の事々への対応に集中せざるを得ず、可能な範囲で、今後の新たな環境下での体系的な国語科教育のありようを調査、探求できればと願っている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、ご理解賜り、助成研究を延長させていただくことができました。 次年度には、主に、イギリス現職研修へのリモート参加費用、現職教育機関刊行の関連書籍の購入のために、使わせていただければありがたく存じます。
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Research Products
(3 results)