2021 Fiscal Year Research-status Report
教師の「第3教育言語」の分析を通した図画工作・美術科授業改善システムの構築
Project/Area Number |
18K02659
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大泉 義一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90374751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 第3教育言語 / 授業研究 / 美術教育 / 発話 / 図画工作科 / 美術科 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,これまでの図画工作・美術科の授業における教師の発話(第3教育言語)に関する一連の研究で得られた知見や分析手法を援用し授業研究プログラムを構想した。 まずは,これまでの発話研究で明らかになった知見を,教師の第3教育言語を析出する手がかりとして整理し,さらにそれらが発せられる際に顕在化すると考えられる教師の「観」を導出することで発話分析指標を仮定した。次に,学校教育現場の教師らと発話分析に取り組み,その分析結果と考察を協議する授業研究会(「発話分析研究会」)を試行的に実践した。その際には,筆者が先述した発話分析指標を援用しながら協議のファシリテーションを行うことで,教師の発話とそこに根付く「観」をふまえた授業研究の可能性の検討を行った。そして,その試行実践を通して発話分析指標の更新を行うとともに,発話分析研究会の運営の省察を通じて授業研究プログラムを構想した。 研究成果は以下の通りである。第一に発話分析指標の策定である。これまでの研究知見をふまえて仮定し,発話分析研究会の試行実践を通して更新した。これにより,発話という日常的かつ具体的な教師の行為から,教師の「観」を包括する概念を示すことができた。第二に,その発話分析指標を援用した授業研究プログラムの構想である。これまでの発話研究の知見を,学校教育現場の授業研究に生かす方策を得ることができたと言える。第三は,教師の発話分析の意義を再確認できたことである。発話分析研究会においては教師の「観」を対象に語り合うがゆえに,そこでの議論は「どのようにして?」ではなく「なぜ?」を考え合うものとなる。そうした意味において,構想された授業研究プログラムは「参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学びあったり創り出したりする学びと創造」を目指すワークショップ実践であると理解することが妥当であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大により,教育現場での実証研究の実施が困難であった。 ただし,対面とオンラインのハイブリッドの手法を採用することにより,研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本来であれば,1ヵ年で完遂することのできる研究課題を,2ヵ年をかけて取り組む計画に更新している。再延長した2022年度において完了する見込みである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により,教育現場との連携に基づく研究を進めることができなかった。ただし再延長した2022年度において完遂する見通しが立っている。
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Research Products
(3 results)