2021 Fiscal Year Annual Research Report
organizational learning processes that promote site-driven educational improvement at universities
Project/Area Number |
18K02701
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中島 英博 立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (20345862)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 組織文化 / 組織学習 / 大学改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組織学習の理論枠組みを援用することで、大学教職員が職務を通してどのような学習を生起しているか、および、教職員個人の学習が組織的なルーチンの棄却や置き換えにどのようなプロセスで統合されていくのかを明らかにすることを目的としている。そのために、本研究では教育改善や業務改善など、これまでの仕事を変える必要に迫られた経験を持つ教職員を対象に、その経験を聞き取る調査を行う方法をとる。 2021年度は、NPM型の教育改革や政策推進が、大学内の組織文化をどの程度変化させてきたかを明らかにする調査に取り組んだ。日本では大学外からの要求によってNPM型の教育改革が進められるようになって、20年以上が経過したとみることができる。こうした長期にわたる大学外からの異なるロジックの導入は、大学内の構成員の組織に対する認識をどの程度変えてきたと言えるかは、十分に明らかにされていない。本調査では、教育改革のための補助金や外部資金獲得に関わった教職員を対象に、学内のルーチンや成功体験の認識について聞き取る調査を行った。同時に、米国の大学を対象として同様の調査を行い、同様の経験をした大学教職員の間で、国際間の違いがあるかを検討した。 主要な結論は次の通りである。第1に、NPM型の教育改革によって、大学の組織内には専門職ロジックと企業ロジックと言う異なるロジックが共存し、葛藤や緊張を生んでいる。第2に、企業ロジックは必ずしも学術ロジックに置き換わるものではなく、教職員らによって共存が保たれている。専門職ロジックは簡単に置き換わるものではなく、教職員の組織文化は根本的に変化していない。 この結論は、併存型制度ロジックの研究の分析視角である互換性と中心性という2つの見方と密接に関連する。大学内で2つのロジックがどのようなプロセスによって連携を保っているかを明らかにすることが今後の課題である。
|
Research Products
(1 results)