2018 Fiscal Year Research-status Report
Organizational Analysis on "Why Japanese Universities cannot Reform Themselves"
Project/Area Number |
18K02704
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川嶋 太津夫 大阪大学, 高等教育・入試研究開発センター, 教授 (20177679)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大学改革 / 大学組織 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、主に文献研究と資料調査を通じて、我が国の大学改革の経緯と組織論をそれぞれレビューした。その成果は、「第3回教育改革の四半世紀と学生の変化」(ベネッセ教育総合研究所編『大学生の学習・生活実態調査報告書』7ー16頁、2018年)及び「日本の大学は、なぜ変わらないのか? 変われないのか?ー4半世紀にわたる個人的経験を通してー」(佐藤郁哉編著『50年目の「大学解体」 20年後の「大学再生」ー高等教育政策をめぐる知の貧困を越えてー』105ー157頁、京都大学学術出版会、2018年)にまとめた。その概要としては、日本の大学が戦後半世紀にわたり、さまざまな課題を抱えたまま、なかなか改善、改革ができない(と思われている)理由は、マクロ的には文部科学省の高等教育政策の成果が十分に検証がなされないまま、同じ課題がほぼ2年ごとに新たな答申や審議まとめなどで繰り返し指摘され、その都度新たな改善策が提起されていること。ミクロ的には、大学の組織構造やマネジメントが「サイロ構造」つまり学部・研究科縦割りであるため、課題の共有や改革のベクトルが相殺されてしまうことを明らかにした。ただし、大学が「サイロ構造」であることは、日本だけでなく欧米でも指摘されているところであり、なぜ我が国では、社会から「大学は変わらない」「大学改革が進んでいない」と指摘され続けているのかについては、例えば、学長のリーダーシップのあり方を含めて大学のガバナンスやマネジメントの実態をさらに探求する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究にかかる研究成果の一部を、2つの論文にまとめ、公表している。
|
Strategy for Future Research Activity |
大学組織の特性を整理するだけでなく、①学長のリーダーシップなどのマネジメントやガバナンスの研究を一層推進する。②大学がサイロ構造であること、またその弊害については欧米でも同様に指摘されているところであり、大学改革の研究に国際比較の視点を取り入れ、日本の大学と大学改革の特性を明らかにする。これらの2点を中心にして研究を推進する。そのため、2019年度は文献研究に加えて海外調査も実施する予定
|
Causes of Carryover |
予定していた外国出張が、訪問相手先との調整が不調に終わり実施できなかったこと。 また、別財源で外国出張が可能であったため、使用予定額に残が出た。今年度は、できるだけ、計画的に出張や書籍購入を行う予定である。
|