2022 Fiscal Year Research-status Report
外部環境に対応する大学の組織変革の促進要因と阻害要因の解明
Project/Area Number |
18K02724
|
Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
山本 裕子 名古屋商科大学, 国際学部, 教授 (90547902)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 大学組織運営 / マネジメント / 組織変革 / 新しい仕事 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大学組織変革の促進要因と阻害要因をミクロ(個別大学別)とマクロ(国公私セクター別)の両側面において,明らかにすることを目的としている. 2022年度は地方国立大学のA大学を対象に,第2期と3期を研究対象期間に設定し,教育改革業務を遂行する際に発生する「新しい仕事」がどの部局のどのような人によってどんな組織体制で計画・遂行されているか,資料及び聞き取り調査によって明らかにした.特に,学部教育を支える高等教育系センター及び教養教育系センターの2つのセンター組織に焦点をあてた.センター組織の設置趣旨,改組時期及び構成員や業務内容と運営方法の変遷を整理した.当該組織は頻繁に改組や名称変更がなされているが、それが何故起こるのか,その現象が起こる原因や発生する構造と過程を調査した. その結果,次の4点を指摘することができた.1) 学部教育を全学組織として横断的に支える教育系のセンター組織(教養教育系組織と高等教育系組織)は社会的ニーズやそれを反映する高等教育政策の影響を受けて設置されている.2) 学長の在任期間ごとにどちらかのセンターが改称または改組されている.3) センター系組織の専任教員は概算要求での予算を財源のため身分の保証が不安定となり、一定のサイクルで学外異動が起きる.4) 学長と教育担当理事の任期をずらすことで連続性を保とうとした可能性がある(理事の交代が発生する場合は代わりに学長補佐が継続した). 特に教育改革を担う組織の改組については,改組前と後で業務内容が似ており,以前の組織で担われていても改組される可能性が指摘できた.それは当該大学においては文部科学省に提出する概算要求の影響を強く受けて発生していることが推察された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は地方国立大学のA大学を対象として,文献調査及び聞き取り調査を行った.A大学の法人化後に設置された、学部教育を支える高等教育系センター及び教養教育系センターの2つのセンター組織に焦点をあて,センター組織の設置趣旨,改組時期及び構成員や業務内容と運営方法の変遷を整理した.当該組織は頻繁に改組や名称変更がなされているが,それが何故起こるのか,その現象が起こる原因や発生する構造と過程を明らかした.同時にセンター系組織が担う,教育改革系業務によって増えた「新しい仕事」がどのように担われ,遂行されたかについても調べ,論文として発表した.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は研究の最終年度であるため,本研究の目的達成に向けて,改革に伴う組織変容とそのマネジメントのされ方を明らかにするため,日本の全ての大学を対象に質問紙調査(オンラインまたは郵送)を実施することと,さらに個別の大学の訪問調査を実施する.また,海外の大学の事例に関する比較研究としては,引き続き,文献等による調査を進める.
|
Causes of Carryover |
引き続き2022年度も新型ウィルスの影響のため,個別の大学訪問調査や聞き取り調査が思うように進まず,旅費分の使用額に余剰が生じた. 2023年度は,新型ウィルスが5類に移行したことで,その影響が社会的に極めて小さくなっているため,対面の訪問調査を通常通り進められるようになっており,当初の計画通り,研究費のこれでまの余剰分を使用して,調査研究を進め,研究の最終年度とする.しかし,もし訪問調査が再び不可能になった場合も,調査をオンライン調査と郵送調査に代えて実行する.
|
Research Products
(1 results)