2022 Fiscal Year Research-status Report
大学職員の内発性に基づく役割モデルの再構築に向けた日・韓・台比較研究
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18K02732
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
深野 政之 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (40552758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光本 滋 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10333585)
林 透 金沢大学, 教学マネジメントセンター, 教授 (20582951)
菊池 芳明 横浜市立大学, 教育推進課, 学務准教授 (60347193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学職員 / 役割モデル / 大学教育改革 / メンバーシップ型 / 内発的改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には新型コロナウィルスの影響により,予定していた海外訪問調査が全面的にできなくなった.このため今年度も,日本における大学職員の現状の役割モデルについて重点的に検討した. 日本の大学教員と職員の協働および職員間の協働では,明示的な役割分担・職務分担だけでなく,グレーゾーンの部分がどう担われているのかなど多くの部分が暗黙知により支えられている.したがって暗黙知の重要性を認識した上で,組織内の経験を継承・発展していく仕組みを構築することが重要かつ現実に求められている. また日本においてジョブ型採用の動きが企業だけでなく大学でも検討が開始されているところがあり、台湾や韓国の大学職員のあり様が参考になり得ると言える。大学における教職協働と言うキーワードにおいて、職員の雇用のあり方と能力向上、職員の位置付け(日本の場合、職員が部長クラスや理事になるケースも少なくない)の違いによる大学ガバナンスの有り様などを国際比較している. 2023年3月には大学評価学会全国大会において,同志社大学・太田肇教授を招いて「教職員の意欲と能力を引き出すマネジメントの枠組み」と題して、共同体と職員、職員と教員の関係、大学という組織への教員と職員の統合などについてお話しいただいた.これに対して,これまでの研究で抽出してきた日本の大学事務職員の特徴としての「強い共同体性」のもたらす課題と対応等について,一般企業社員や公務員との比較,共通点と総移転等の議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度には2度にわたる台湾での訪問調査,2019年度には韓国と台湾で訪問調査を行い,韓国においては大学行政管理学会との共同企画により国際研究集会を開催した.また学会誌への調査報告採録(2回),日本高等教育学会大会自由研究発表(1回)に加え,研究会報告(4回)など,当初の研究計画を超える調査活動と研究成果発信を行ってきた. 2020-2022年度は新型コロナウィルスの影響により,予定していた海外訪問調査が全面的にできなかったが,日本の大学職員の現状分析を重点的に行ったことに加え,韓国・台湾の法令・制度に係る情報収集を進め,日本及び欧米諸国との比較検討を進めることができた.また学会誌への調査報告採録(2回),大学教育学会大会自由研究報告(要旨集録掲載)に加え,研究会報告(3回),大学評価学会ポスター発表(3回)を行った. 2021年と2022年に大学評価学会全国大会(オンライン開催)において本研究課題の中間的総括を行った際に,(1)研究計画の着実な推進,(2)学会・研究会との共同調査等の連携に加え,(3)本研究独自のWEBページ作成による進捗報告と広報に対して,高い評価を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には,コロナ禍による渡航制限の解除を前提として,韓国の現地訪問調査を優先課題とする.それに加えてアメリカの大学職員について,これまで日本で紹介されてきた専門職としての幹部職員ではない一般職員の実態調査を行う. 第2次科研計画の最終年度にあたり,各国の特徴を抽出し,構造的な差異と共通の課題を見出すこととする.その上で,今後の高等教育機関に求められる社会的責任の下での,日本の大学職員の内発性に基づく新たな役割モデルを提示することとする. 本研究において提示する新たな役割モデルについて,研究成果を学会・研究会で自由研究発表を行うとともに,本研究独自のWEBページにおいて広報を行う.さらに多様な専門分野の研究者による外部評価を得ることとする.
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Causes of Carryover |
コロナ禍による海外渡航制限により、予定していた韓国への訪問調査ができなかったため。 2023年度には第2次科研計画(2021-2023年度)による補助金と合わせて活用することとする。
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Research Products
(4 results)