2021 Fiscal Year Research-status Report
盲ろう及び重複障害児への共創コミュニケーションアプローチに関する実践的研究
Project/Area Number |
18K02783
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 保和 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (60467131)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 共創コミュニケーション / 盲ろう / 重複障害 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、盲ろうおよび重複障害児とのコミュニケーションに関して、共同活動を創造するプロセスという観点から、実践的にその構造について明らかにすることを目標としている。2019年度までにおいては、対象となる重複障害児(重度の知的障害をあわせ有する弱視児や重症心身障害児など)に対する定期的な教育実践を継続しつつ、実践資料の蓄積を行い、共同活動のプロセスとそこでの相互的コミュニケーションの様相に関する映像資料の分析を進めてきた。また本来、研究の総括を行うべく2020年度は、前年度までに明らかになった視点を盛り込んだ教育実践を行うとともに、その資料収集につとめてきた。しかしながら、COVID-19により、教育実践(分析のための映像資料収集)の一時的中断が余儀なくされ、十分な研究の総括ができなかった(2021年度も同様の理由で総括ができなった)。こうした状況のなか、既に筆者は、これまでの研究において共同活動の成立・展開の諸条件について、触覚的共同注意の観点から明らかにしており(中村・川住, 2007;2009)、ビデオ映像記録を用いた微視的分析(マイクロ分析)によって、盲ろう児と係わり手との間に生じる活動を、共同で創り上げていくプロセスとして記述することを試みている(中村,2011)。さらに、盲ろう以外の障害児(視覚障害に知的障害を伴う重複障害児やろう重複児)に対しても、共同活動の成立・展開要因について長期的な実践研究(中村,2016 ; 大槻・中村,2017;2020)のデータを蓄積しているため、これまでに蓄積された実践資料(映像資料)を引き続き共創コミュニケーションの観点から分析した。これによって、そこでの相互的コミュニケーションの様相を構造的に明らかにし、一定の成果が得られた。以降においては、これまでの成果を基にコミュニケーション支援の方法の開発の総括を行うこととする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最終的な総括につながる対象児らへの支援がCOVID-19により十分に実施できず(感染対策のため家庭訪問や大学での支援ができなかった)、実践資料の蓄積が不十分となった。また成果発表の場となる学会大会(日本特殊教育学会)の開催形式がオンラインであったため、個人情報の保護の観点からビデオ映像を用いた成果発表(進捗状況の報告)を控えた。こうした理由から、本研究課題の総括(最終的な成果報告)をあと一年、延期することとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
感染症対策を強化しつつ、教育実践の機会を探るとともに、それが十分に叶わない場合は、これまでに蓄積された実践資料(映像資料)を共創コミュニケーションの観点から分析し直す。こうした対処によって、可能な範囲で共同活動のプロセスとそこでの相互的コミュニケーションの様相を構造的に明らかにし、そこからコミュニケーション支援の方法の開発に関する総括を行う。
|
Causes of Carryover |
最終的な教育実践に必要な教材等を購入するとともに、成果を公表するための学会発表費(参加費と旅費)に使用する予定である。
|