2019 Fiscal Year Research-status Report
主体的な学びの促進と項目プールの構築を目指す次世代作問学習支援システムの研究
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18K02825
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
高木 正則 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (80460088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 康彦 東京学芸大学, ICTセンター, 教授 (10387532)
市川 尚 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40305313)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 作問学習 / 思考力・判断力・表現力 / eテスティング / 目標設定 / 自己評価 / 他者評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
作問学習支援システム中のeテスティング機能群として,項目反応理論(IRT:Item Response Theory)を利用して問題の難易度・識別度パラメータを推定する項目分析モジュール,項目プールに登録する問題を選ぶための良問の閲覧・選別モジュールを開発した.また,コンピュータ上でのテストを実現するCBT(Computer Based Test)モジュールや適応型テストを実現するCAT(Computer-Adaptive Testing)モジュールを設計し,試作した. また,平成30年度に開発した作問学習の記録・可視化機能群を利用し,大学の授業(情報基礎数学)で作問学習を継続的に実践し,作問学習と思考力・判断力・表現力の関係性を分析した.この作問学習では,作問学習前に平成30年度に開発したルーブリックを用いて目標設定を行い,作問学習後に思考力・判断力・表現力を自己評価,他者評価した.作問学習と目標設定,自己評価,他者評価の結果を分析した結果,自己評価の高い学生は高い目標を設定する傾向があることや,高い目標を設定した学生は自己評価も高い傾向にあることなどが示され,目標設定と自己評価に関係性があることが示唆された.また,作問学習を継続して行うことで思考力・判断力・表現力の自己評価が向上していたことが示された.さらに,他者評価では,自己評価よりも高い評価をする学生が多い傾向にあったが,自己評価では気づけない指摘や意見を得ることができていた. 作問学習後に実施した学生へのアンケート結果からは,目標設定を行うことで評価基準や作問の要件などを意識して作問学習に取り組んでいたことや,自己評価を行うことが,学習者への認知や振り返りに寄与していることが示唆された.以上より,作問学習における目標設定,自己評価,他者評価が思考力・判断力・表現力の育成に有効であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作問学習支援システム中のeテスティング機能群の開発については試作段階の機能もあるが,教育現場での利用の見通しが立っている.また,作問学習における目標設定,自己評価,他者評価に関しては,当初の計画よりも早く教育現場で実践を開始しており,その結果から作問学習と思考力・判断力・表現力の関係性の分析も進んでいることから,おおむね順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が担当する授業(数学のリメディアル科目)で,前年度までに開発を進めた作問学習支援システムを利用し,継続的に作問学習の目標設定,自己評価,他者評価を実施する.また,作問学習で作成された問題の量的・質的分析を行い,問題の分析結果と作問学習の自己評価結果の関連性を分析する.さらに,学生へのアンケート・インタビューの結果等を踏まえ,本システムと作問学習のプロセスが思考力・判断力・表現力の向上に有効であるかを,多様な分析観点から明らかにする.その他,作問学習で作成された問題を利用した適応型テストの実現可能性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,年度末に予定していた研究打ち合わせが実施できなくなったことに加え,参加を予定していた国際学会も中止となり,支出予定であった参加費や旅費を使用しなかった.また,論文を投稿した国内学会についてもオンライン開催となったため,旅費が不要となった.また,購入を予定していたノートPCも新型コロナウイルスの影響で在庫切れとなり購入ができなかった.この他,当初予定していたシステム開発への人件費・謝金について,指導学生が開発の大部分を担当することができ,大幅に支出を削減できた.繰越金については前年度購入できなかった物品の購入費に活用するとともに,データ分析時のデータ収集・入力作業等の謝金,システム開発への人件費・謝金,国際・国内学会等での研究成果の発表のための費用等に上乗せして活用する.
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Research Products
(7 results)