2019 Fiscal Year Research-status Report
メタ認知に働きかけて「柔軟な発話意図解釈力」を育てる誤解予防学習プログラムの開発
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18K02899
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宮 真智子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90170828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 年寿 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90353416)
山口 洋介 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (60769602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 誤解 / 発話意図 / メタ認知 / IPEパラダイム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,メタ認知に働きかけることにより,他者の発話意図に対する柔軟な解釈力を育て,誤解を予防する学習プログラムを開発することを目的としている。コミュニケーションにおいて受け手が送り手の発話意図を誤解する(言い換えれば,語用論的に誤解する)ことにより,送り手の期待や要望とは異なる行動を取ってしまうことがある。そして,発話意図のネガティブな解釈を絶対視することによって対人感情の悪化に繋がり,他者との協力・協調がうまくいかないことも珍しくはない。さらには,誤解が原因で,コミュニケーションの当事者が不安や抑うつ状態に陥るなど,メンタルヘルスにも悪影響を及ぼしかねない。こうしたリスクを内包する誤解,とりわけ発話意図についての誤解を予防することは,多くの人々が人間関係に悩みを抱える現代社会において急務とも言えるだろう。 前年度の調査に続き,2019年度は,発話意図の誤解の中でも,特にネット上での誤解,例えばメールやLINEなどを中心に調査を行い,サンプル数を増やした。合計253名分,410件の誤解事例を新たに収集し,誤解が生じた言語表現やその時の状況,発話者(発信者)の伝えたかったこと,相手の解釈や誤解によりもたらされた結果等について分析を行っている途中である。これをもとに,今後は柔軟な発話意図解釈の力を育てるトレーニングのための教材化へと進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネット上での発話意図のネガティブな誤解事例エピソードを追加収集したため,分析が滞った。
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Strategy for Future Research Activity |
できるだけ速やかに誤解事例の分析を完了し,収集した誤解事例の分析とともに,ネガティブな結果を招いた発話意図の誤解事例エピソードの追加,とりわけネット上での誤解事例エピソードの追加収集を行う。また,2年目の計画として予定している,(1)ある発話に対して,なぜ自分がある特定の意図解釈をしたのかに気づかせる,メタ認知促進のための体験学習プログラムの試作,(2)多様な発話意図の推測を可能にするための,IPEパラダイムを用いたトレーニングを行う学習プログラムの試作に着手する。
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Causes of Carryover |
ネット上での発話意図のネガティブな誤解事例エピソードを追加収集したため,分析が滞ったことが人件費の次年度使用額の生じた主な理由である。次年度の経費使用計画には,この費用が計上される。
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Research Products
(8 results)