2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of misunderstanding-prevention learning program that works on metacognition and fosters skills for flexible interpretation of others' intention
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18K02899
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宮 真智子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 名誉教授 (90170828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 年寿 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (90353416)
山口 洋介 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (60769602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 誤解 / 発話意図 / メタ認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,メタ認知に働きかけることによって,他者の意図を柔軟に解釈する力を育てる誤解予防学習プログラムを開発することであった。本研究では,意図の誤解を特に「メタ認知の不足」および「解釈の一面性」という観点から取り上げ,予防法を考案することを目指した。他者の意図を解釈する際のメタ認知の基本は,自分の解釈を絶対視せず,他者の意図の可能性を柔軟に多面的にとらえることである。とりわけ,ネガティブな解釈に偏りがちな場合に,ポジティブあるいはニュートラルな解釈の可能性にも気づくようになることが重要である。 本年度の論文発表としては,教師の叱り言葉に対して子どもたちがどのように反応するかという問題について,叱り表現の種類を独立変数とした検討を行い,子どもたちによる発話意図の認知,嫌悪,不満,反省,行動改善意欲を調べた研究を論文にまとめて投稿し,採択された。主な結果として,直接行動要求とセルフコントロール要求の表現は,概して教師の発話意図をポジティブに解釈されやすく,行動改善意欲を含む望ましい反応を招きやすいが,権威的脅し,否定的人格評価、突き放しの表現は,その逆であること,一般には好意をもって受け入れられる発話であっても,その意図を子どもたちがネガティブに解釈すると,他のネガティブな反応を引き起こすことが示唆された。このことから,教師は,子どもたちの意図解釈に注意を払い,ネガティブな意図解釈のみを行う子どもに対しては,彼らのメタ認知に働きかけ,ポジティブな解釈にも目を向けさせるように指導する必要があることが窺える。 今後の方向性としては,すでに公刊済みの知見(IPEパラダイムを用いて,他者の行動の背景理由を多面的に推測する力をつけるためのトレーニングプログラムの有効性を示したもの。参加者のメタ認知にも改善が認められた)を拡張して,汎用性を高めることが考えられる。
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Research Products
(3 results)