2018 Fiscal Year Research-status Report
外集団攻撃の適応基盤を探る-男性戦士仮説と実効性比の理論的整合の検討
Project/Area Number |
18K03025
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
横田 晋大 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (80553031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三船 恒裕 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (00708050)
杉浦 仁美 近畿大学, 経営学部, 講師 (10761843)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外集団攻撃 / 実効性比理論 / 男性戦士仮説 / 集団間葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
「人がなぜ集団間葛藤を行うか」は古くて新しい問題であり、分野を超えてその解明が求められている。本研究では、進化心理学的な観点から、人が集団間葛藤に従事する際の背後にある心理メカニズムの解明を目指している。集団間葛藤は歴史的には主に男性がその役割を担っており、そのため男性には集団間葛藤状況に敏感に反応し、内集団(自分の所属する集団)を防衛し、外集団(自分が所属する以外の集団)を攻撃して資源を奪うように行動すると予測されている。そのベースにある理論は集団内の性内競争である。すなわち、男性が危険であるにも関わらず集団間葛藤に参加することで、自身の繁殖可能性が高まるからだと考えられている。しかし、この論理の前提は検証されていない。すなわち、1) 女性にとって外集団を攻撃する男性は魅力的か、2) 女性から評価される状況で男性は外集団攻撃を積極的に行うようになるのか、の2点は少なくとも明らかにしなければならない。本研究では、これら2つの前提が妥当か否かについて検証することを通じて、男性の外集団攻撃の背後にある心理メカニズムの解明を目指す。 研究計画では、1)と2)を検証するため、それぞれ場面想定法を用いたシナリオ実験を実施し、シナリオ実験の結果の妥当性を検証するため、実験室実験を実施する予定である。 2018年度は、場面想定法を用いた実験を行うためのシナリオの選定および精錬を行った。複数回にわたり、シナリオへの反応を確かめて修正・加筆などを行い、シナリオを完成させた。予備実験のデータしか採取していないため、学会発表および論文化を行っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
場面想定法を用いたシナリオ実験を行うため、シナリオの作成に時間をかけ、データを使ってしまったことが挙げられる。ただし、このシナリオは、その後の実験室実験にそのまま適用される条件設定であるため、慎重かつ厳密に行う必要があった。2018年度に、そのシナリオを完成させることができたため、2019年度からデータ採取を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度中にシナリオ実験を実施し、データを採取する。データは、前期と後期に計2~3回採取することが可能であるため、シナリオ実験で予定されていたデータを全て採取することが可能である。また、その結果をまとめ、日本社会心理学会および日本人間行動進化学会にて発表を行う。そして、その研究成果を論文化する。
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Causes of Carryover |
2018年度は、シナリオ作成のための予備実験のデータ収集が主だったことから、ミーティングや学会発表の旅費、データ入力や実験参加への謝礼などの人件費など、実験や成果発表に関する費用を効果的に使用できていなかった。今年度は、データ収集を開始することができるため、これらの費用を使用する予定である。
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