2019 Fiscal Year Research-status Report
外集団攻撃の適応基盤を探る-男性戦士仮説と実効性比の理論的整合の検討
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18K03025
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
横田 晋大 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (80553031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三船 恒裕 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (00708050)
杉浦 仁美 近畿大学, 経営学部, 講師 (10761843)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 男性戦士仮説 / 性比 / 外集団攻撃 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度では、場面想定法を用いた質問紙実験を2度実施した。まず、申請内容にもある、外集団攻撃を行う人物への魅力度評価を行った(2019年7月)。結果は、男性戦士仮説を支持するものではなく、協力的な人物への評価が高いことが示されるのみであった。この結果を受け、本研究の仮説と方法を修正した。男性戦士仮説で述べられている、集団間葛藤により男性の繁殖成功度の向上は、内集団成員からもたらされるというよりもむしろ、外集団から資源を奪うことにある。そのため、質問紙実験において、集団間状況で外集団攻撃の生起を測定するIPD-MDにおいて、各集団の性比の教示を操作し、外集団攻撃が生起するか否かを検討した(2020年1月)。その結果、男性は、男性のみの集団間関係において外集団攻撃の傾向が見られた。しかし、外集団に異性が一人含まれているという教示は外集団攻撃に影響は与えていなかった。以上の結果は、2020年度の日本社会心理学会および日本人間進化行動学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2度の質問紙実験の実施とその結果を通じて、将来的な実験の見通しを立てたりや仮説の修正を行ったりすることができた。また、これらの知見を元に、実験室実験の計画を立案中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2020年1月のデータを元に、質問紙実験をweb調査にて行う予定である。この実験の結果を元に、後期には実験室実験を計画している。また、2020年1月に得られたデータを日本社会心理学会および日本人間進化行動学会にて報告する予定である。十分に質問紙実験の成果が得られた後、論文化して投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
本研究は、進化生物学における実効性比理論を元に実証研究を行う計画である。実行性比理論の妥当性を人間以外の生物で検証した知見は存在する一方で、人間に適用できるかを検証した知見は存在しない。そのため、人間における性比の効果は探索的とならざるを得ず、その性比の教示の方法を含めた実験マテリアル(シナリオ)の作成に時間を要した。この理由により、人間を対象とした実験を実施するに至っておらず、それに伴って、発表に価する成果を得られていなかったことから、旅費の使用額も少なかった。 実験マテリアルが完成したため、次年度は積極的にデータを採る予定である。特に、場面想定法を用いた実験は、学生を対象としたものと調査会社への委託による一般人サンプルを対象としたデータを採る予定である。また、それに伴い、新型コロナウイルスの影響で要請されていた大学での授業が再開された折には、人間を対象とした実験を実施する予定である。その成果に伴い、学会発表を行い、論文の執筆を行う予定である。
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