2018 Fiscal Year Research-status Report
Development and validation of problem-solving therapy by smartphone for parents of children with autism spectrum disorder
Project/Area Number |
18K03104
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 敦朗 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10315880)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 範雄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20464563)
香月 富士日 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (30361893)
鈴木 真佐子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (70617860)
古川 壽亮 京都大学, 医学研究科, 教授 (90275123)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 自閉スペクトラム症 / 養育ストレス / 問題解決療法 / スマートフォン / アプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症の親はストレスが高いことが知られている。こうした親に対して、日常生活上の問題点の解決を通して心理的苦痛の軽減をはかる問題解決療法も行われている。問題解決療法は、構造化された問題解決スキルを用いて日常生活上の問題点を自分自身で解決できるようにすることを目的とした簡便な心理療法である。これまでに、問題解決療法を自閉スペクトラム症と診断された子どもの母親に行ったところ抑うつ症状が軽減したという報告や、親の陰性感情を減らし、問題解決技能が向上したとの報告がある。一方で問題解決療法は比較的簡便な治療法ではあるが、標準的には1セッション1~1.5時間×10~12回程度の対面治療が必要で、トレーニングを受けた人材と時間とを要する治療であるために、十分普及しているとは到底言えないのが現状である。毎年多くの患者が、自閉スペクトラム症と新たに診断され、その親に対して日々の問題行動や将来への不安を緩和するニードが存在する。こうしたことを鑑み、我々はInformation and communication technologyとしてのスマートフォンを用いて問題解決療法を行うことに着目した。実際、コンピュータやスマートフォンを用いた認知行動療法がオーストラリア、イギリス、オランダ、スェ―デンなどで行われており、その有用性が示されている。莫大な患者数の割に少ない治療者を考えると、新しい情報通信技術、中でも携帯性のあるスマートフォンを使用した問題解決療法を開発することが今後の自閉スペクトラム症の子どもを養育する親の気分プロフィールの改善や育児ストレス軽減の一助となると考えられる。 以上のような背景から、今回我々はスマートフォンを用いた問題解決療法を開発し、本法が自閉スペクトラム症の子どもを養育する親の生活の質の改善に有用性を示すか否かを予備的に検証するための臨床試験を計画した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は研究方法を具体化し研究プロトコールを作成した。具体的には、対象者の基準を、①6歳から15歳の自閉スペクトラム症と診断されている実子を養育している24歳以上60歳未満の親、②6歳から15歳の自閉スペクトラム症と診断されている実子と同居している、③6歳から15歳の自閉スペクトラム症と診断されている実子は同意時に、名古屋市立大学病院こころの医療センターか、三重県立子ども心身発達医療センターに通院している、④本人がスマートフォン問題解決療法を希望している、⑤スマートフォンの操作に慣れている、⑥データ欠損に際しての電話による評価に協力可能である、と定めた。評価項目を検討しPOMS2、K6、PSI、Brief COPEに確定した。対象者をエントリーする機関については当初予定していた名古屋市立大学病院こころの医療センターに加え、三重県立小児心身発達医療センターにも協力を依頼し承諾を得た。評価期間は8週間とし、0週、4週、8週の3回で測定することとした。エントリー目標症例数は、第0週から第8週への前後比較で相関係数を0.5、効果サイズ0.5と仮定し、有意水準両側5%、検出力90%と想定してpaired t-testで計算すると44名程度が必要になる。2割程度の脱落を考慮し目標症例数を55名と設定した。また介入が終了した対象者から、協力可能な5名程度を対象に、アプリケーションのどういった内容が援助になったかを面接調査するといった質的検討も計画した。 これらをまとめたプロトコールを作成し、2019年3月6日に名古屋市立大学大学院医学研究科の倫理委員会に提出し、同年4月6日に承認を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
自閉スペクトラム症の子どもを養育する親に対して用いる問題解決療法「解決アプリ」は既に準備ができているが、他の研究と相互にデータを比較できるようにするためアプリを一般成人向けに適応できるよう改変することを計画している。また同時に評価項目についても他の研究とデータを比較できるように評価項目を統一することも検討している。これらは当初郵送で行う予定をしていたが、研究をよりスムーズに進めるためにインターネット上で入力できるシステムを開発することを計画している。 さらに、対象者の同意取得をインターネット上で行うシステムを開発して用いる計画も立案し、準備を進めている。このため他の研究責任者と定期的に会合を開催し準備を進めていく予定である。また問題解決療法「解決アプリ」を委託し共同開発しているLife2Bits株式会社との定期的な打ち合わせも予定している。 これらの改変に伴いプロトコールも改変が必要となるため、準備が整い次第、倫理委員会に再提出を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
自閉スペクトラム症の子どもを養育する親に対して用いる問題解決療法「解決アプリ」は既に準備ができているが、他の研究と相互にデータを比較できるようにするためアプリを一般成人向けに適応できるよう改変することを計画している。また同時に評価項目についても他の研究とデータを比較できるように評価項目を統一することも検討している。これらは当初郵送で行う予定をしていたが、研究をよりスムーズに進めるためにインターネット上で入力できるシステムを開発することを計画している。 さらに、対象者の同意取得をインターネット上で行うシステムを開発して用いる計画も立案し、準備を進めている。このため他の研究責任者と定期的に会合を開催し準備を進めていく予定である。また問題解決療法「解決アプリ」を委託し共同開発しているife2Bits株式会社との定期的な打ち合わせも予定している。 これらの改変に伴いアプリの開発費用などがかかるため次年度に繰り越す必要が生じた。
|