2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K03199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 睦 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70215565)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンパクト化 / 線型群 / 超幾何微分方程式系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,線型群の表現のコンパクト化を考え,その構造を明らかにすることにより線型作用の極限を統一的に扱うことを目指すことである。数学の多くの対象においてその線型変形の極限を考察することが良くあるので,この研究は多方面での応用が期待できる。本研究期間においては,応用面では主に超幾何微分方程式系の変形に適用することを目指している。
線型群の表現のコンパクト化そのものについては,顕著な前進はなかったが,超幾何微分方程式系の理論については,前年度に引き続きフロベニウスの方法による解の構成について進展があった。確定特異点型の常微分方程式の古典的理論におけるフロベニウスの方法とは,決定方程式がジェネリックのときの級数解の指数を別変数と見て微分する方法のことで,Logを含む級数解を構成できる。前年度にA-超幾何微分方程式系でも同様の考え方で一般的な定理を証明することができた。
引き続き,2021年度では,北海道科学大学の奥山豪氏との共同研究として,フロベニウスの方法の研究を続けた。まず,前年度に得られた結果を精密化した。さらに,或る緩い条件を満たすKer(A)の基底に付随して多項式環のイデアルを複数定義し,それらイデアルの関係を条件として,フロベニウスの方法により解空間の基底を構成できることを示した。さらに,青本-ゲルファント系やLauricellaのC型関数に付随するA-超幾何微分方程式系について,パラメータが0のときにフロベニウスの方法により具体的に基本解を構成した。以上の成果について,「Logarithmic A-hypergeometric series II」という奥山氏との共著論文にまとめ,arXivに挙げ,論文雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
応用面での主対象であるA-超幾何微分方程式系の研究で進展があったが,線型群の表現のコンパクト化そのものでは,目立った進展はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
線型群の表現のコンパクト化については,特に,超平面配置の空間への一般線型群の作用のコンパクト化を構成したい。
A-超幾何微分方程式系については,フロベニウスの方法の定理のさらなる改良と重要な特殊例への適用を多数行いたい。
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Causes of Carryover |
他の業務で多忙であったことと,新型コロナウィルス防止の観点から研究集会はオンラインとなるなどにより,出張を全く実行することができなかった。 新型コロナウィルスの影響が小さくなったと判断した時点で,次年度使用額で,研究集会等へ参加し,研究交流を進展させたい。
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