2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒストリー的挙動を許容する可微分力学系の創発性の研究
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18K03376
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
相馬 輝彦 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (50154688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐木 紳 東海大学, 理学部, 教授 (50277232)
中野 雄史 東海大学, 理学部, 講師 (50778313)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Emergence / diffeomorphism / historic behavior |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,微分同相写像の創発性(emergence)である.特に,2次元多様体 M 上の微分同相写像で,Lebesgue 測度が正である M のある部分集合 U に対し,U の要素を起点とする前方軌道の創発性が Sup-P となる族を見つけることにあった.この研究は,P. Berge氏 (2017) の研究が動機となっている.2019年3月に,同氏と同氏の共同研究である S. Biebler氏が来日し,慶応大学で講演をした.本研究課題の研究代表者の相馬と研究者分担者の中野雄史氏(東海大学講師)は,彼らと直接情報の交換をすることにより,本研究課題の今後の研究方針を明確にすることができた.それを元にして,もう一人の研究分担者の桐木紳氏(東海大学教授)と共同で論文を作成することにした.これによって,本研究課題の初年度の目標がほぼ達成できたと言える.具体的には,次の定理が証明できた. 【定理】微分同相空間 Diff(M) 内の任意の Newhouse 開集合の稠密な部分集合 D で次の性質を持つものが存在する.「f を D の要素とするとき,M 内に Lebesgue 測度正の部分集合が存在し,その部分集合の要素を起点とする前方軌道は pointwise Sup-P 創発性をもつ.」 2018年度の研究成果には,2次元微分同相写像のみでなく,m 個の文字の両側無限列の空間 X 上の左フル・シフト写像に関する創発性の結果も含まれる.具体的には次の結果が得られた. 【定理】f を X 上の左フル・シフトとするとき,X の residual な部分集合 R で,R の要素を起点とする前方軌道は pointwise Sup-P 創発性をもつ. これらの結果をまとめた論文は現在作成中であり,2019年度内に専門誌に投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な課題である,2次元微分同相写像の創発性に関し,基礎となる結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方針に主要な変更はない.2次元微分同相写像の創発性の創発性の研究を続けていく予定である.ただし,時間的に余裕があれば研究対象を3次元以上の微分同相写像にも広げていきたい.
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Causes of Carryover |
2名のブラジル在住の研究者を招聘し,謝金を支払ったが,両名が途中,京都大学に招聘されたので,その期間の謝金が不要になった.2019年度に別の研究者を招聘して謝金に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)