2019 Fiscal Year Research-status Report
On Structures and Properties of Edge-Colored Graphs and Digraphs
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18K03402
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
善本 潔 日本大学, 理工学部, 教授 (90307801)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Bermond-Thomassen予想 / essentially digraph / 辺着色グラフ / 最大単色次数 / 有向2部グラフ / 有向グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
辺着色された完全グラフや完全2部グラフの構造について研究を行った.辺着色されたグラフを(G,c)と書く.ただし、c:E(G)->[p]とする.Gの部分グラフHがproper coloredとは、その任意の隣接する辺e,fの色が異なる、すなわちc(e)とc(f)が異なることを意味する.Hのすべての辺の色が異なる時、Hはrainbowであるという. 辺着色されたグラフは、有向グラフの一般化になっている.特に、(G,c)に対して、適当な点着色c^*:V(G)->[p]が存在し、Gの任意の辺xyに対して、c(xy)がc^*(x)またはc^*(y)となっている時、(G,c)はessentially digraphであると呼ぶ. 本年は、未解決なBermond-Thomassen予想「最小出次数が2k-1以上有向グラフはk個の素な有向サイクルを含む」の辺着色グラフへ一般化の研究を行った.特に、グラフを完全グラフに制限すると、以下の予想が知られている「(K_n,c)の最大単色次数がn-1-(3k-2)以下ならば、k個の素なproper coloredサイクルが存在する.この予想はBroersmaらの予想で、彼らはk=1,2の時を解決している. Bermond-Thomassen予想が有向完全2部グラフに対して成り立つことはBaiらによって示されている.その辺着色への一般化を考えた.この時、研究代表者とCada准教授(チェコ・ウェストボヘミア大)や小関准教授(横浜国大)との共同研究による結果を使うことにより、問題を特殊な有向2部グラフの場合に置き換えることができ、その場合を解決することによって、「(K_{n,n},c)の最大単色次数がn-(2k-1)以下ならば、k個の素なPCサイクルが得られる」ことを証明することに成功し、8月にイギリスで開催された英国組合せ論国際会議で講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通りBermond-Thomassen予想の辺着色グラフへの一般化は予定通り進んでいる.特に、研究の過程で色連結性という重要な概念が得られた.色連結性とは、辺着色グラフ(G,c)の任意の2点x,yに対して、辺素な二つのパスP,Qがが存在し、その合併P U Qにおいて、x,yの両方でそれぞれ2辺の色が異なることをいう.有向グラフにおける強連結を一般化した概念で、多くの類似の特徴を持っていることが確認されている.この概念を使うことで、これまで得られた辺着色されたグラフの構造をシンプルに表現できることが期待されている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず上記の辺連結性の研究を行う.有向グラフの強連結性がもつ多くの性質を辺連結性に一般化できることは確認済みであるが、次の問題は未解決である.すなわち、「辺着色グラフ(G,c)が辺連結ならば、任意の辺に対して、その辺を通るproper coloredサイクルが存在する」. 強連結有向グラフが類似した性質を持つことは容易に示すことができるが、辺着色グラフに対してはいまだ未解決である.任意の辺を通るproper coloredサイクルについては、Fleischnerらの先行研究があるので、それらを参考にして解決する. 連結性はグラフの重要な性質であり、多くの研究結果がある.同様に強連結性も有向グラフの重要な性質であり、多くの成果が得られている.したがって色連結性も多くの重要な性質を持つことが予想され、今後は色連結性の研究を重点的に行い、Bermond-Thomassen予想の辺着色グラフへの一般化問題に役立てる.得られた研究成果は、9月にスロバキアで開催される国際会議の1時間の招待講演で発表する予定である. また同時に、次の予想を解決する.すなわち、「連結正則非2部的グラフは偶全域木を持つ」.偶全域木とは、どの二つの端点に対しても、その2点を結ぶ距離が偶数になる全域木である.現在ロンドン大学のJackson教授と共同研究を行っている.この解決に有向グラフが有効であることがわかっている.本予想を解決し、さらにその証明で使われる有向グラフを辺着色グラフにすることによって得られる新たな手法や問題、予想を開拓する.
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り使用したが、共同研究のために招聘する予定であった研究者の招聘により来年度に繰り越すことになったため次年度使用が生じた。これについては、次年度の招聘の際に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)