2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of evaluation method of surface temperature at high contact pressure with hardened gears under the condition of the axial sliding speed
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18K03918
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
東崎 康嘉 近畿大学, 理工学部, 教授 (60610540)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | はすば歯車 / 動的熱電対法 / 表面温度 / 硬化歯車 / 軸方向すべり / 異種金属 / ねじれ角 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球環境問題への対応から自動車などの燃費向上が強く求められ,歯車装置の小型軽量化や潤滑油の低粘度化が進み,歯面の温度上昇を高面圧下で知ることが要求されている.自動車に良く使用されるはすば歯車では,ねじれの影響で軸方向のすべり速度や歯の軸方向での同時かみ合いが生じる.異種金属を用いて歯車自体を熱電対とする動的熱電対法による温度測定は熱電対を歯車に埋めこむ方法と異なり反応時間が短く,瞬間的な歯面の温度変化を知るには最も適切な方法である.本研究の目的は,異種金属でかつ硬化したはすば歯車を用いて熱電対とし,軸方向すべり速度を有する歯面上の瞬間的な温度上昇を実機条件に相当する1GPa以上の高面圧条件下で計測する手法を確立し,歯車潤滑理論に基礎的寄与を与えることである.SUS316に真空浸炭による硬化処理,さらにはS55Cには高周波焼入れを実施することで,面圧1GPa以上での計測が可能となり,実際の自動車等の運転条件と同一な面圧状態での温度を知ることが可能となる.はすば歯車の場合,ねじれ角の影響で多数の歯がかみ合うことが想定されるために,ねじれ角を小さくし,正面かみ合い率と重なりかみ合い率の和が2以下になるような条件での試験を計画した.かみ合い率が2以下でも,歯車が同時に2枚以上かみ合うと発熱部が2箇所で発生する.それを避けるために,初期評価として1歯かみ合いの条件でのみの評価を行った.その結果,従来計測例が無かったはすば歯車のかみ合い中の連続的な温度変化を捉えることができた.はすば歯車のかみ合い中の歯面温度は,歯形方向と歯形と直角方向のすべり速度が大きい箇所ほど温度が高く計測されることが計算結果との対応で明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動車を始めとする産業機器で多く用いられているはすば歯車の歯面温度評価手法作成を目的とし,ねじれ角と歯幅を小さくし,正面かみ合い率と重なりかみ合い率の和が2以下になるような条件で硬化した異種金属で作製した歯車の動的熱電対法による歯面温度計測を行い下記の結論を得ている. (1)動的熱電対法により,従来計測例が無かったはすば歯車のかみ合い中の連続的な温度変化を捉えることができた.動的熱電対法によるはすば歯車のかみ合い中の歯面温度は,歯形方向と歯形と直角方向のすべり速度が大きい箇所ほど温度が高く計測されることが計算結果との対応で明らかとなった. (2)計測された歯面温度はBlokの式に表面粗さと形成される油膜厚さを考慮して算出される歯面摩擦係数の式を適用した結果,今回の試験条件では境界潤滑部分の摩擦に支配されて歯面温度が上昇しているものと推定された.また,試験結果と計算結果は比較的良く一致した. 現在は,トルク100Nmで試験が可能な試験装置の設計・製作が終了した.本試験装置を用いることで,更なる高面圧条件下での試験が可能となる.また,歯車が同時に2枚以上かみ合うと発熱部が2箇所で発生することに対応するために,同一歯を軸方向にずらしてもう一つ設置した後,1歯飛びに歯を切り取った2つの交互欠歯車を絶縁された状態で製作する計画を進めている.現在,設計・図面作成は終了しており,今後見積り・発注作業を行うことにしている.交互欠歯車が完成すると,1歯かみ合いの条件でのみの計測だけだはなく,2歯かみ合い条件での計測も可能となるために,歯形方向と歯形と直角方向のすべり速度が大きい場所での歯面温度計測とその評価が可能となる. すでに得られている研究成果は、日本機械学会主催の2018年次大会にて発表を行った後,日本機械学会論文に投稿し掲載も決定している.
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Strategy for Future Research Activity |
トルク100Nmで試験が可能な試験装置の設計・製作が終了している.はすば歯車で2歯かみ合い条件かつ高面圧の条件で硬化歯車の表面温度計測する準備は全て完了しており,今後は実際の計測作業を行っていく.同一歯を軸方向にずらしてもう一つ設置した後,1歯飛びに歯を切り取った2つの交互欠歯車を絶縁された状態で製作する歯車の製作と精度確認も行っていく.研究計画の変更は現状ない。目標の1GPa以上での条件下で歯車表面温度を計測し,歯形方向のすべりだけではなく,軸方向すべりも有し,かつ平歯車とは異なり接触線の長さが,かみ合いの進行とともに変更する場合の温度変化を世界で初めて計測する.異種金属を用いて歯車自体を熱電対とする動的熱電対法による温度測定を用いて,とロコイド干渉と呼ばれる歯先,歯元での干渉による異常かみ合い時の温度計測も取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)トルク100Nmで試験が可能な試験装置の設計・製作は完了しているが,試験装置で確認するための試運転用歯車の製作に時間を要し,検収が終了していないために,計上時期がずれ込んだ. (使用計画)試験装置の額は約212.7万円と大きいために,今期計上すればほぼ計画通りとなる.今後,同一歯を軸方向にずらしてもう一つ設置した後,1歯飛びに歯を切り取った2つの交互欠歯車を絶縁された状態で製作する歯車の製作等を行なうために,順調に計上が進むと予想される.
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Research Products
(5 results)