2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 英由樹 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70447035)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内言 / 行動誘導 / 無意識 / 潜在意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間が思考の道具として利用している独り言や内言に着目し、それを人工的に作り出すことで、主体感や関与感、情報の理解・判断の精度を向上させる。内言・独り言で使用される自分声は、外部で聞こえる声と異なり、頭部内の骨導音であるため、予め外部で記録した音声を変換して骨導音を作成し、それを適切なタイミングで提示することで、あたかも自分の意思として自然に行動を促すことを実現することを目的とする。さらに,ELSIの観点に基づいて問題のない範囲を規定において、無意識的な誘導技術は悪意のある誘導手法へと容易に転用できることが予想されるため、どのような条件において利用すべきかについて検討を行う。 初年度に引き続き,内言として刺激を行うための音声を生成について検討を進めた.その結果,発生された音声から,頭の中で響く自分声へと変換するためのフィルタ手法として,従来手法では不十分であった,骨と空気の伝導モデルを再構築し簡便に擬似内言を生成する方法を実現した.具体的には,骨と空気の伝導音を別々に測定し、両方の音の比に重みを付け,それらを合成して,実験協力者に聞かせ,この重みの比率を変化させることで,実験協力者がもっともらしく,自分の頭の中で聞こえる声と感じられるパラメタの抽出し実装する方法が実現できた.さらに,当該手法で音声情報の提示を行ったときと,単なる録音された音声情報の提示を行った場合とでは,前者のほうが精神的な作業負荷を増加させることなく,かつ意思決定などの情報処理にバイアスをかけることができるという実験を行い,その効果を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,情報と人のインタラクションを考えると, 1)計測→ 2)提示タイミングと提示内容の決定 → 3)介入の3つのプロセスが必要である.当該研究では,この全てについて実装を実現することを目標とする.と述べてきた.現状では,1)については今年度までに,どのように人から発せられる音声を計測処理すればよいかについて目処が立ち,2),3)についてはその例の一つとして,頭の中で数字をカウントさせている最中に,擬似内言によってどのように誘導されるかどうか,いわゆる落語の「時そば」のようなシチュエーションによって,ユーザの数えた数に対して無意識的に変容をもたらすことが可能かどうかについて,心理物理実験を構成し実験を実施した.その結果,ある程度の効果の確認が見られたことから,当該研究の研究としての1つの手法が確立できた.今後は,この実験例をどこまで一般化できるかについて研究をすすめることで,目的を達成する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの実験では,限定的な実験状況において,3)介入を行ってきた.最終年度は実験のバリエーションを増やし,これを一般化するための方法に取り組む.特に,意識下の内言刺激による誘導が,メンタルワークロードを計測するなどして,ストレスとならないかなど具体的に調査する.これらの結果から,情報の理解・判断の精度や関与感を向上させる技術の可能性にどうつながるのかについての検討をすすめる.さらに,ELSIの観点に基づいて問題のない範囲を規定において、無意識的な誘導技術は悪意のある誘導手法へと容易に転用できることが予想されるため、どのような条件において利用すべきかについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
予定されていた国際会議が延期となったため,次年度に繰り越す必要がでてきたため
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Research Products
(2 results)