2018 Fiscal Year Research-status Report
非線形動的特性を積極的に活用した高精度強度変調放射線治療計画法の開発
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18K04169
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉永 哲哉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (40220694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 強度変調放射線治療 / 最適化問題 / 微分方程式 / 非線形問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
強度変調放射線治療 (IMRT) 計画の問題は,照射ビーム係数に関する評価関数の最小化問題に帰着される.本研究代表者は,先行研究において,線量体積制約を満たす状況を表す acceptable の概念をこの分野で新しく導入し,acceptable な解への収束が理論的に保証された非線形微分方程式系を考案した.ただし,臨床において精度の高い治療計画が要求される場合,すべての線量体積制約が acceptable とは限らない.すなわち,実現不可能な計画に対して可能な限り目標に近づけることが求められるが,通常の最適化では意図する結果は得られない.この困難な問題に対し,必ず満たすべき制約条件と,可能な限り制約に近づけたい条件に分離して定式化した最適化問題を構成し,問題を解決できるアイデアを想起した.本研究課題の達成により,腫瘍組織には高い線量をより正確に照射し,正常組織にはより少ない線量に抑える設計が可能となり,患者への治療効果を高めると同時に副作用を軽減できる画期的な治療計画を実現できることになる.実用化に向けた研究を行うことが本研究の目的である. 平成30年度は,提案法のハイブリッド力学系の解析を理論および数値実験の両面から並行して実施した.力学系にみられる解の挙動を理論的に調べ,部分的に acceptable な IMRT 計画に対応した平衡点の安定性をリアプノフ定理により証明した.具体的な臨床例から導出された系を対象として数値実験を実施し,平衡点集合の存在する領域を解析した.残りの評価関数を最小化させる自由度として平衡点集合の領域を利用できることが明らかとなり,研究の目的を達成できる見通しが明確となった.さらに,線量体積制約だけでなく平均線量に基づく制約も加えた評価関数への拡張に成功した.結果の一部を国際会議で発表し,国際ジャーナルへの論文投稿を準備している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案法のハイブリッド力学系を理論および数値実験を通して解析し,平衡点集合の存在領域を利用する方法が明らかとなったことで研究の最終目的を達成できる見通しが明確となるなど,研究計画通りの結果が得られたことに加えて,線量体積制約だけでなく平均線量に基づく制約も評価関数に含めることが可能となり,提案法を拡張する成果が得られたことから自己評価を判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に沿って研究を推進する.具体的には,まず,演算の高速化を実現するために提案系の離散化を行う.次に,3次元画像に対応させたプログラムを開発する.最後に,臨床設定を想定した数値実験を行い,内外の研究者や医療関係者に報告し,最適化法の収束性,線量分布図,線量体積ヒストグラム,等価均一線量に基づき性能を評価する.
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Causes of Carryover |
研究に必要な文具を3月に納品したが支払いが翌月になったために次年度使用額が生じたものであり,当初の研究計画に実質的な変更はありません.
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Research Products
(11 results)