2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on a Open-End Low-Leakage Microwave Heating Applicator by Using Electromagnetic Coupling
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18K04263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三谷 友彦 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (60362422)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ波加熱 / 電磁界結合 / 開放系加熱装置 / マイクロ波応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、開放系かつ低漏洩なマイクロ波加熱装置、いわばマイクロ波が漏れない電子レンジの実現である。目的達成のために、無線電力伝送分野での研 究が進展している電磁界結合を応用し、サンプル(容量数ml程度)を効率よく均質に加熱するための電磁界分布のあるべき姿を捉え、電磁界結合によるマイクロ波加熱理論を構築する。また、複数サンプルを均質かつ同時に加熱するマイクロ波加熱装置の実現も目指す。 本年度においては、研究実施計画に沿って、複数サンプルを均質かつ同時に加熱するマイクロ波加熱装置の設計を計算機シミュレーションにより取り組むとともに、設計したマイクロ波加熱装置を実際に試作して加熱実験を行った。マイクロ波加熱装置は、誘電体基板上に設計した複数の方形共振器を2つ対向させた形とし、その共振器の間に純水4.3 mlを注入した試験管2本を設置する形とした。マイクロ波は一方の共振器に対して入力し、他方の共振器は開放端として設計及び実験を行った。周波数2.45 GHz、出力電力10 Wのマイクロ波を照射した結果、450秒程度で純水を室温から70℃程度まで同時に加熱できることを確認し、また2つの試験管内の純水の温度差が最大3.2 Kとなることを確認した。以上より、電磁界結合による複数サンプルの同時マイクロ波加熱が実現可能であることを実証した。また、単一サンプルを用いたマイクロ波加熱装置において、サンプルを純水から有機溶媒に変更した場合の加熱装置評価を電磁界シミュレーションにより行った。シミュレーション結果から、純水よりも比誘電率が小さい被加熱サンプルでは入射したマイクロ波電力の半分以上が反射することが判明し、広範囲の比誘電率に対応する装置設計が必要であることが明らかとなった。 本研究成果は、国際会議2件および国内学会1件で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の進捗状況は当初計画通りであり、国際会議等での研究成果発表にも至ったことから、当初の計画通りにおおむね順調に進展しているといえる。一方で、加熱サンプルを有機溶媒に変更した場合にマイクロ波加熱効率が低下する恐れがあることが明らかとなり、広範囲の比誘電率に対応する装置設計が必要であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究実施計画に沿って研究を進めるとともに、問題点として明らかとなったマイクロ波加熱装置の改良を行い、最終年度として研究成果をまとめる。また、本研究で開発するマイクロ波加熱装置は化学プロセス分野で近年着目されているマイクロフロー型プロセスとの親和性が高いといえることから、引き続きこれらの分野の研究者との共同研究を視野に入れた研究活動を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に参加予定であった電子情報通信学会・総合大会が新型コロナウィルスの影響により開催中止となった。次年度使用額が生じた理由は、上記学会参加の旅費が執行できなくなったためである。次年度の使用計画としては、論文投稿費もしくは学会発表のための費用に充てる予定である。
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