2023 Fiscal Year Research-status Report
自然水環境中の細菌由来タンパク質分解酵素による腸管系ウイルスの不活化メカニズム
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18K04403
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
稲葉 愛美 山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (60749448)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸管系ウイルス / 細菌由来細胞外タンパク質分解酵素 / 不活化メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
水中の腸管系ウイルスの感染リスクの評価を確立させるために、感染性ウイルスの存在を評価する必要がある。そのためには、水環境中に存在するウイルスの不活化に影響する要因を正確に解明する必要がある。これまでは、UVや消毒など、物理的、化学的要因に着目し、ウイルスの不活化を評価したものに限られていた。しかし、水環境中のウイルス不活化要因に細胞外タンパク質分解酵素が関与している可能性が予測されるが、不活化に影響する酵素の種類や放出する微生物に関する知見はない。ウイルスの不活化に影響する酵素活性の種類、その様な活性をもつ酵素を放出する細菌、水環境、季節性などの差異によるウイルス不活化の違いなどを明らかにする必要がある。そこで本研究では、市販、細菌株由来、環境水中に存在するタンパク質分解酵素に着目し、対象とした腸管系ウイルスの不活化影響を評価する。 そこで、実際の酵素反応による不活化実験を行う前に、in silicoによる解析を行った。データベース上に既に報告されている対象ウイルスのアミノ酸配列情報に対し、既存のエンドペプチダーゼの切断活性による切断部位が存在するかの解析を行った。ExPASyPeptideCutter(https://web.expasy.org/peptide_cutter/)による解析の結果、多いものでは数百の切断部位が検出された。このことから、既存のタンパク質分解酵素の活性 により、カプシドタンパク質が分解される可能性が高いことが示唆された。また、切断部位数の差から、ウイルス種ごとに酵素により不活化影響が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の不測の病気により研究全般の実行が遅れた。また、新型コロナウイルス感染症による影響、産休、育休の取得を受け、研究当該年度の研究計画に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
実行予定であった研究内容を遂行する。まず市販の単一精製されたタンパク質分解酵素により実際に対象ウイルスが分解され、不活化されるかを確認する。また、実際のカプシドタンパク質の切断部位をLC/MSにより解析し、in silicoにより解析された予測切断部位と一致するのか比較解析を行う。さらに、2~3年目に予定していた、細菌株から放出される細胞外タンパク質分解酵素によるウイルス不活化実験、および環境試料を用いたウイルス不活化実験を順次遂行する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の産休、育休の取得により、実験の遂行が困難であったため、また、新型コロナウイルス感染症の流行により研究遂行のための研究施設が利用できなかった。そのため、当該年度に実験で使用する予定であった予算が使用されなかった。 次年度に当該研究を遂行すべく、必要物品の購入を進めている。
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