2020 Fiscal Year Research-status Report
都市街区内の風の揺らぎのメカニズムとガス拡散挙動の解明
Project/Area Number |
18K04471
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
道岡 武信 近畿大学, 理工学部, 准教授 (20371370)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乱流 / 数値シミュレーション / 大気拡散 / 都市街区 |
Outline of Annual Research Achievements |
街区内には流体力学の理論では説明することが難しい風の揺らぎ(低周波数の乱流変動)が存在することが明らかにされつつある。この風の揺らぎは都市内の汚染物質拡散に大きな影響を与える可能性があるものの、その発生メカニズムおよび構造はよくわかっていない。本研究題目では、都市街区を対象に数値シミュレーションにより風の揺らぎの構造およびその発生メカニズムを解明することを目的とする。 令和2年度の実施概要は以下の通りである。昨年度に実施した立方体ブロックおよび直方体ブロックで正方配列された都市街区をさらに簡略化した配置において低周波数の乱流変動の発生メカニズムの解明を試みた。具体的には、立方体ブロックおよび直方体ブロックを直列配列した単純な建物配置を対象として数値シミュレーションを実施した。その結果、非常に単純な直列配置されたブロック周りにおいても低周波数の乱流変動が発生することが明らかになった。また、プロック側面には高速流の塊と低速流の塊が対になって流れており、その流体塊が低周波数の乱流変動であることが明らかになった。ただし、その発生メカニズム等に関しては今後詳細なデータ整理する必要がある。実在都市の気流を対象として数値シミュレーションも継続に実施ており、実在都市においても一部条件が整えば低周波数の乱流変動が発生することが明らかになった。この条件に関しては今後検討する必要がある。さらに、風車周りの気流・ガス拡散を対象とした数値シミュレーション結果を学術論文にとりまとめ、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の実施した理想的なブロック群や実在街区を対象とした数値シミュレーションに関してはほぼ計画通りに実施できたものの、計算結果のデータ処理に関しては少し遅れが生じている。遅れが生じた理由としては、低周波数乱流変動の挙動を固有直交分解(POD)や動的モード分解(DMD)などにより重要なモードを取り出すことで明らかにできる可能性があり、それらの統計処理方法を模索していたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究実施予定は次の通りである。 (1)前年度実施した理想的なブロック群や実在街区を対象とした数値シミュレーションデータに固有直交分解や動的モード分解を実施することにより低周波数の乱流変動の構造を解明する。 (2)実在の都市内の汚染物質拡散を対象に数値シミュレーションを実施し、風の揺らぎが汚染物質拡散に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)令和2年度において、コロナ禍において多くの国際学会などが延期などになり、学会発表ができなかった。また、研究が少し遅れたため研究内容を実施するための備品や学術論文の投稿費用を次年度に繰り越す。 (使用計画)データ解析用のPCの購入、学会発表費用、論文掲載費用などに使用する予定である。
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