2020 Fiscal Year Research-status Report
Topological analysis of 3D pore distribution in sintered metals-Elucidation of a fatigue failure process of porous materials.
Project/Area Number |
18K04779
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾崎 由紀子 九州大学, 工学研究院, 教授 (20637946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 一成 九州大学, 工学研究院, 教授 (30215983)
平山 恭介 九州大学, 工学研究院, 助教 (70717743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 焼結金属 / 金属射出成形 / Ti合金 / 疲労破壊機構 / 3次元気孔配置 / パーシステント・ホモロジー / X線CT / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属焼結材料は気孔の残存により,溶製材よりも低疲労強度である.気孔が疲労破壊に関わる機構を理解するためには,気孔相互の3次元(3D)的な配置の評価は不可避である.本研究では,X線透過率が比較的高いTi系合金焼結体を対象に、高輝度X線トモグラフィ(CT)を用いて気孔の3D観測を行い,気孔のネットワーク構造を位相解析(パーシステントホモロジー,PH)によって数値化し、この値をパラメータとして,疲労破壊に対するの3D気孔配置の影響を解明した。まずは、気孔分布の異なるTi-6%Al-4%V射出成形(MIM)材を試作し、3D-CT測定を行い、得られた気孔配置にPH解析を適用し、気孔配置の数値化を行った。次に、無負荷時の気孔の3D-CT画像をもとに、3D-有限要素(FEM)法を行い、仮想的なひずみ場における応力分布を予測した。気孔配置と局所的分布、及び疲労限との関係を解析し、以下の結果を得、気孔率増大により,低球形度の粗大気孔が発生し,応力集中点となることによる疲労限低下が説明された。 (1)気孔の3D-CT像より、気孔重心座標<R>、気孔体積相当半径<r>及び球形度<c>を求め、<R>及び<r>にPHを適用することによって、3D気孔配置を気孔径<r>と気孔間距離を変数とした2次元ベクトルとして定量化できることを確認した。 (2)FEM解析により、気孔の3D-CT像に仮想的に引張荷重を付与した場合の応力分布を計算し、応力方向に 45 °の角度で気孔間への応力集中、とりわけ不規則性が大きい粗大気孔が最大相当応力点となることが確認した。 (3)最大相当応力と<c>との間に正の相関が見られ,(2)の結果を支持した。また、気孔径増大に伴う<c>の低下を確認した。 (4)熱間等方プレスを施した気孔率ゼロのMIM-HIP材の疲労限で規格化したMIM材の疲労限は、気孔率と負の相関を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、気孔分布の異なるTi-6%Al-4%V射出成形(MIM)材を試作し、負荷をかけずに高輝度X線透過実験を行い、3D気孔配置の差異を可視化し、気孔配置のパーシステントホモロジー(PH)解析をうことによって、無負荷状態での気孔配置の数値化に成功した。一方、当初の計画では、弾性領域での繰り返し応力を加えつつ、途中高輝度X線C T測定 を行う予定であったが、試験実施中、疲労試験機の破損により止む無く実験を中断した。 2020年度、疲労試験中のin-situCT測定の再トライを計画したが、新型ウィルス感染防止措置による放射光施設 (SPring-8)の閉鎖により、断念せざるを得ない結果となった。そこで、上記の通り大幅に計画を変更し、すでに取得済の無負荷時の気孔の3D-CT画像をもとに、3D-有限要素法を用いた疲労破壊シミュレーションを実施した。その結果、PH解析による気孔配置と局所的応力集中、及び疲労限の定量的な関係を解析することとし、当初の予定通り、気孔形状と配置が応力集中を介して気孔亀裂の発生、さらには疲労限に及ぼす影響を説明できる結果を得た。しかしながら、年度内に成果の公表には至らず、課題を1年延長し、2021年度中に投稿論文として公表準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに、2020年度までに当初の目的となる結果を得ている。2021年度は上記の成果を投稿論文として公表の予定である。 さらに、本手法の有効性を実証するため、Ti系を対象とした金属積層造形(AM)材の破壊機構の解析へと展開予定である。AM材は、積層方向に対する構造異方性(気孔配置、及び結晶配向)によって機械的強度が影響される。本材料の解析においては、気孔配置のみならず、結晶粒の配向についても位相解析によって数値化を検討し、金属材料の組織の数値化手法を確立する計画である。
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Causes of Carryover |
R1年度、使用装置の致命的故障およびR1年度末からのコロナ禍による実験施設閉鎖により研究計画の大幅変更を余儀なくされた。実験検討を行う部分をシミュレーションに変更し、研究を遂行し、R2年度(計画最終年度)内に予定する結果は得られたものの成果公表に至らなかった。このため、論文投稿費用を次年度に繰り越し、R3年度中に上記の成果を論文投稿ならびに学会発表を行う予定で準備を進めている。
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