2019 Fiscal Year Research-status Report
光触媒/多波長吸収金属ナノワイヤーコアシェルアレイによる可視光利用高効率水素生成
Project/Area Number |
18K04877
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高瀬 浩一 日本大学, 理工学部, 教授 (10297781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 智弘 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80581165)
田中 啓文 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90373191)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金ナノワイヤー作成 / 表面プラズモン / 光触媒/ナノワイヤー コアシェル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である太陽光を利用した光触媒による水の分解を進めるには、太陽光を吸収してくれる金ナノワイヤーの作成が必須となる。遠い目標であるが、実用化のことも考慮してできるだけ安価になるように本研究では、アルミニウム金属に陽極参加処理を施し、そこにできるポーラスアルミナ細孔へ金を埋め込むことで金ナノワイヤーの作成を目指している。ポーラスアルミナは、アルミナ細孔の底部にバリア層と呼ばれる絶縁層が存在しているが、この絶縁層を除去しない限りナノ細孔への金の埋め込みはできない。そこで、このバリア層を化学的に除去し、金属アルミニウム表面が露出させた。ここで、アルミニウム金属を使用した場合の弱点として、アルミニウム表面は、酸化されやすく薄いため、再び酸化アルミが生成される点である。この問題を解決するには、アルミニウム金属薄膜/金薄膜/SiO2/Si基板からなる多層膜を使用すれば良いのであるが、実用化までを鑑みれば、現実的ではない。アルミニウム基板使用には弱点はあるが、メッキ処理への移行までの時間を短縮するなどして、この問題を押さえ込んでいる。 このような処理の結果、なんとかアルミナ細孔への金埋め込みがメッキで可能となったが、細孔の壁面も同時エッチングされ、細孔径が約30 nmから80 nm程度と大きくなった。 埋め込まれる金の量は、メッキ方法とその条件に強く依存するので、1)直流メッキ、2)交流メッキ、3)非対称パルスメッキを試した結果、数マイクロメートルに及ぶとても長い金ナノワイヤーをアルミナ細孔中に作成することに成功した。 さらに、埋め込んだ金ナノワイヤーを利用するためには、ポーラスアルミナからナノワイヤーが露出した状態を作り出さなければならない。そこで、ポーラスアルミナを化学エッティングし、金ナノワイヤーを露出させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの期間で、ポーラスアルミナナノ細孔への金埋め込みを実現した。方法や条件にもよるが、金ナノワイヤーの長さは、ある場合は100 nm程度、またある場合は、数マイクロメートルと長さをうまく制御できていない。確実に金を埋め込めるようにはなっているので、今後、電圧や時間などの最適なメッキ条件を確立していきたい。また、メッキ法は、その日の環境に強く依存し、昨日できたことが今日できるとは限らない。良い再現性を得られないことが著しく研究のスピードを阻害している。このため、当初の研究実施計画から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目標を残りの研究期間内に達成するためには、メッキ法による金ナノワイヤー作成の再現性の向上がとても重要になる。特にこれから向かえる梅雨の時期は、研究室内の湿度が上昇するために、メッキ条件に大きな影響を与える。これらを回避するために、メッキ浴、熱浴等を湿度やガス雰囲気を制御できる大型ボックスに入れるなどの処置を早めに実施したい。 これらの準備と並行して、本年度は、局在表面プラズモンが確認できる程度の金ナノワイヤーの長さ調整を行なっていく。 光触媒効果を利用するためには、酸化物半導体を金ナノワイヤーに堆積させる必要があるが、このための成膜装置であるMBEやALDはすでにスタンバイ状態にあり、いつでも使用可能である。ナノワイヤーの準備が出来次第、成膜に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、主に、アルミニウム板を用いて作成したポーラスアルミナに金を埋め込むことに注力してきた。金の埋め込みには、ポーラスアルミナ底部に存在するバリア層を除去しなければならない。もし、これが不十分であれは、金ナノ粒子を埋め込むことはできない。さらに、バリア層底部の均一な除去ができない場合、ポーラスアルミナの一部のみに金が埋め込まれることになり、埋め込まれた金ナノ粒子を探すこともままならい。今年度は、このような状況を克服するのに多くの時間を費やした。 今年度、本研究で最も重要な金ナノワイヤーの埋め込みに成功したので、次年度以後は、このナノワイヤーをポーラスアルミナから露出させ、金ナノワイヤー酸化物半導体を堆積させることを試みる。この実験に使用する分子線エピタキシー装置の坩堝や原材料、さらには、原始層堆積法で使用する半導体の液体原材料に予算を使用する予定である。 なお、研究協分担者の関西大学清水先生の研究室では、原始層堆積装置の準備はすでに整っているとともに、当研究室の分子線エピタキシー装置も準備万端である。
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Research Products
(2 results)