2020 Fiscal Year Research-status Report
光触媒/多波長吸収金属ナノワイヤーコアシェルアレイによる可視光利用高効率水素生成
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18K04877
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高瀬 浩一 日本大学, 理工学部, 教授 (10297781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 智弘 関西大学, システム理工学部, 教授 (80581165)
田中 啓文 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90373191)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金ナノワイヤー / 金ナノワイヤー/酸化チタンコアシェル構造 / 水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、光による水の直接分解に関わる有効反応面積をこれまでに比べて圧倒的に大きくするために、酸化チタン/金ナノワイヤーコアシェルアレイ構造に注目し、太陽光の幾つかの波長の光から水分解に必要な電子及び正孔をより多く生成でき、ナノワイヤーアレイ構造に起因する光の低反射に伴う温度上昇により触媒反応が促進される「水素・酸素分離回収可能な金属ナノワイヤー・半導体複合系」を創成することである。本来、金のフェルミエネルギーと酸化チタンの伝導帯の底との間には0.6 eV程度のエネルギー差があり、金から酸化チタンへの電子移動は起こりえないが、金がナノ粒子の場合、光により誘起される局在表面プラズモン共鳴を通じて電子はエネルギーを受け取ることで、酸化チタンへの移動が可能とり、その結果、酸化チタンは可視光応答を示す。金ナノ粒子に代えてナノワイヤーにすることで、酸化チタンに接する金の面積が大きくなり、より多くの電子を酸化チタンに供給できるものと期待される。更に、ナノワイヤーでは、直径方向と長さ方向の2つに対してプラズモン共鳴が生じるため、2つの波長を吸収することになり、太陽光エネルギーをより効率的に使用できるようになる。 これまでのところ、長さが不均一な金ナノワイヤーを得ることは出来ているが、空間的に長さの異なる金ナノワイヤーが存在することは、今後の水分解までを考慮すると、好ましくない。そこで、金ナノワイヤーの作成条件を色々と試しながら、引き続き、空間的に均一な長さを有する金ナノワイヤー作成に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、コロナウィルスの影響で大学への入稿が著しく制限され、研究時間を十分確保することが出来なかった。また、金ナノワイヤー作成条件の洗い出しがうまくいっていない。 このため、最終年では、研究計画に大幅な遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究では、アルミニウム板に作成した陽極酸化ポーラスアルミナを使用して金ナノワイヤーの作成を試みてきた。細孔底部には、バリア層と呼ばれる絶縁皮膜が存在し、この膜の除去の良し悪しでメッキされる金の良し悪しも決まるようである。 これらの不確かな状況を打破するためには、アルミニウム板の使用を諦め、アルミニウム薄膜/金属板を用いることが最善であると考えられる。アルミニウム薄膜を完全陽極酸化することで、バリア層が取り除かれ、メッキ液と良好な導電環境が構築されることが期待される。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、コロナウィルスの影響に伴う「緊急事態宣言」や大学授業方法の大幅な変更(オンライン授業)のため研究時間を十分確保することが出来なかった。 特に、ポーラスアルミナの準備など長い時間を必要とする実験が大きく滞ったことが研究の進捗を大きく遅らせる結果となり、残額が生じた。 次年度は、アルミニウム基板の代わりに、導電性酸化膜上に堆積させたアルミニウム薄膜を用いることで、メッキ時に重要であるメッキ液と基板の導電性を改善し、長さの揃った金ナノワイヤーの作成と酸化チタンとのコアシェル構造の作成を目指す。これらの実施のため、本年度の残額を必要な消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)