2018 Fiscal Year Research-status Report
フェリチンを用いた新規「蛋白質ケージ構造解析法」の技術基盤の確立
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18K05314
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金丸 周司 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (50376951)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質ケージ / scaffold / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い熱安定性・pH安定性を有する蛋白質ケージ(Scaffold)のもつ直径約8nmの内部空洞に標的蛋白質を閉じ込め、粒子画像抽出が容易なScaffoldごとクライオ電顕単粒子解析法によって立体構造を決定すること、そのために必要な技術基盤を構築することを目的としている。 現在までに、モデル分子を用いて発現ベクターの構築から、精製、電顕観察、画像解析までを何度も繰り返し、高分解能構造を得るために必要な技術基盤を1つ1つ精査・開発を行っている状態である。 蛋白質発現に関しては、Scaffold蛋白質と標的蛋白質の発現量をそれぞれのベクターのコピー数をコントロールすることで、適切なScaffold-標的蛋白質複合体を発現させることに成功した。蛋白質精製に関しては、精製タグを付加することで、Scaffold-標的蛋白質複合体のみを単離することを試みた。当初は6 x his-tagを用いて精製を行い吸着・溶出条件等を検討したがScaffoldとScaffold-標的蛋白質複合体を完全に分離することができなかった。構造解析に関しては、Scaffold混在下でのScaffold-標的蛋白質複合体のクライオ電顕画像取得、構造解析を試みた。すでに、Scaffold単体の画像取得についてはその濃度、凍結条件等が確立できていたので、その条件にて行った。その結果、Scaffoldの構造は比較的高分解能で決定できるが、標的蛋白質の構造は低分解能の構造しかられていない。 今後は精製タグ、標的蛋白質固定化、Scaffoldの対称を崩す方法等を検討し高分解能での構造解析を実現したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル標的蛋白質としてGFPを用いて、発現系の構築・精製条件検討を行った。その結果、 1.Scaffold蛋白質と標的蛋白質の発現量をそれぞれのベクターのコピー数をコントロールすることで、適切なScaffold-GFP複合体を発現させることに成功した。 2.タグを付加することで、Scaffold-GFP複合体のみを単離することを試みた。当初は6 x his-tagを用いたが、Scaffold本体がNi-NTAに対して吸着が認められ吸着・溶出条件等を検討したがScaffoldとScaffold-GFP複合体を完全に分離することができなかった。現在、蛋白質タグを含めて検討を行っている。 3.Scaffold混在下でのScaffold-GFP複合体のクライオ電顕画像取得、構造解析を試みた。すでに、Scaffold単体の画像取得についてはその濃度、凍結条件等が確立できていたので、その条件にて行った。その結果、Scaffoldの構造は比較的高分解能で決定できるが、GFPの構造は低分解能の構造しか得られなかった。これは、GFPがScaffoldに対して、複数の向きで配置していることに加え、Scaffoldの高い対称性に引きずられて、画像解析過程でGFPの向きをうまく合わせられないことに起因すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.精製過程で、ScaffoldとScaffold-GFP複合体を完全に分離することができなかったため、現在蛋白質タグを含めて精製タグの検討を行っている。 2.GFPがScaffoldに対して、複数の向きで配置している問題に関してはGFPの相対配向を固定するために剛直なリンカーをGFPとScaffoldとの間に導入しGFPの固定化を進めている。また、GFPが導入されたScaffoldのみに目印となる分子を付加することで、Scaffoldの対称性を崩すことを検討している。 3.現在まで、電顕画像取得と画像解析・構造解析を研究協力者に依頼していたが、構造解析ワークステーションを購入し、画像解析・構造解析も研究代表者が行うことで分子デザインから構造解析のサイクルを早く回す予定である。
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Causes of Carryover |
電顕画像取得と画像解析・構造解析を研究協力者に依頼していたが、分子デザインから構造解析のサイクルを早く回すため構造解析ワークステーションを購入し、画像解析・構造解析も研究代表者が行う。そのため、構造解析ワークステーションを購入に必要な経費を翌年度分より請求した。 本年度に購入・交換予定であったクロマト装置のUVランプユニットは今のところ正常に動いているため、また翌年度に購入予定の消耗品であるゲル濾過カラムは本年度の利用が少なかったため翌年度も使用可能と考えられ、その分を次年度使用額に充当する。
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Research Products
(2 results)