2019 Fiscal Year Research-status Report
食用油脂による低膜透過性化合物の消化管吸収促進機構の解明とその評価法の構築
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18K05495
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
片岡 誠 摂南大学, 薬学部, 准教授 (00340860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中鎖脂肪酸トリグリセリド / 遊離脂肪酸 / 吸収促進 / 膜透過 / 消化管吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は当初の研究計画通りの内容を遂行した。以下に項目ごとの研究実績の概要を記載する。 1)中鎖脂肪酸含有トリグリセリド(MCT)および種々吸収促進剤による生体異物の消化管吸収性変化の検証 本年度では、生体異物の性質の特徴(分子量:250程度から40,000程度まで)を広げた検討を行った。低分子物質として分子量が同程度であるものの脂溶性が大きく異なるAtenolol (ATE)、Metoprolol (MET)およびPropranolol (PPO)の消化管吸収性に及ぼすMCTの影響を評価した。また分子量が10,000、20,000および40,000のFluorescein isothiocyanate-Dextran(低膜透過性物質)を用いて検討した。各化合物の消化管吸収性におよぼすMCTの影響を観察したところ、水溶性が高いATEの吸収はMCTによる増加傾向が認められたものの有意な差はなく、また脂溶性の高いMETとPROの吸収に対するMCTの影響は観察されなかった。一方高分子化合物では、分子量が20,000程度まではMCTの影響が観察されたもののそれ以上では観察されなかった。 2)低膜透過性化合物の消化管吸収性に及ぼす吸収促進作用を有する化合物の影響の定量的評価法の確立 低膜透過性化合物の消化管吸収に及ぼすMCT消化により生じた脂肪酸の影響をin vitroで定量的に評価するために Dissolution/Permeation systemを用いた評価法の構築を試みた。D/P systemの管腔側にリパーゼを添加したところ、適用した小腸モデル膜であるCaco-2単層膜の膜抵抗値は著しく低下する一方でFD-4の透過は上昇した。したがって、吸収促進作用を有する化合物の影響に関して本システムを用いた評価が可能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記載した通り、当初の研究計画通り順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
過年度までは概ね当初の研究計画通りに遂行できている。したがって、令和2年度においても当初の研究計画通り以下の項目について検討する予定である。また、得られた研究成果について学会発表等を通じて外部公開する予定である。 1)MCTおよび種々吸収促進剤による生体異物の消化管吸収性変化の検証 前年度に引き続き、MCTや吸収促進剤による低膜透過性薬物の吸収性変化について検討する。具体的には、MCT接種や吸収促進剤の生理活性物質等の消化管吸収への影響を精査する予定である。さらに臨床を想定した経口投与時の影響についても精査する予定である。 2)低膜透過性化合物の消化管吸収性に及ぼす吸収促進作用を有する化合物の影響の定量的評価法の確立前年度に引き続き研究代表者らが考案しているin vitro経口吸収評価システムを用いた検討を行う。FD-4に加えて異なる性質を示す化合物を用いて、管腔側での膵リパーゼによるMCTの消化と漿膜側への化合物透過におよぼす遊離脂肪酸による吸収促進作用を精査する。同時にin vivo実験から得られたMCT等の影響と本システムで得られた結果の対応を求め、必要に応じて本システムに適用する生体膜や膵リパーゼ濃度の最適化等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
概ね研究計画通りに予算執行出来ているものの、消耗品購入時に生じた誤差のため1群分の実験動物が購入できなかったため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)