2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of dietary intake of medium chain triglycerides on intestinal absorption of poorly-permeable compounds
Project/Area Number |
18K05495
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
片岡 誠 摂南大学, 薬学部, 准教授 (00340860)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 吸収促進剤 / 中鎖脂肪酸 / カプリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常的に摂取する可能性が極めて高い中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCT)が低膜透過性化合物の消化管吸収に及ぼす影響を明らかにし、またその評価手法を構築することである。これまでMCTが低膜透過性化合物 (Fluorescein isothiocyanate-Dextran: FD)の消化管(小腸)からの吸収に及ぼす影響について精査し、消化管内に存在する消化酵素(リパーゼ)によるMCTの分解によって遊離した脂肪酸(カプリン酸やカプリル酸)が小腸上皮細胞に作用することで、低膜透過性化合物の吸収性を上昇させること、および、影響を受ける化合物の分子サイズを明らかにした。さらに、この影響をin vitroで評価できうるシステムの構築に関して一定の試験条件を確立した。さらに最終年度では、高分子の生理活性物質(インスリン)をモデルとした検討を遂行するとともに、実際の摂取条件を反映させたin vivo試験を行った。その結果、インスリンを用いた評価では、MCT投与群および非投与群ともに投与後著しく血糖値が変動したため十分な評価が遂行できなかった。今後の課題として他の生理活性物質の利用やインスリン自体の血中濃度測定が必要であると考えられた。また、実際のMCT摂取条件を反映させた場合、MCT非投与群では、モデル化合物の吸収性は常に低値を示したものの、MCT投与群では、著しい個体間差が認められた。これは、消化管内でのMCTの分布や分解に個体間差が生じていたためと考えれた。しかしながらMCT摂取によりモデル化合物の吸収性の変化が観察されたことから、ヒトにおいても条件次第でMCTの摂取によって望まない非吸収性化合物の吸収が生じる可能性を示唆するものと考えられた。以上、本研究で得られた成果は、MCT摂取の安全性を考える上で極めて有益な情報であると考えられた
|