2019 Fiscal Year Research-status Report
トウガラシpAMT遺伝子の構造変異による辛味低下メカニズム解明と成分育種への応用
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18K05618
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 義行 京都大学, 農学研究科, 准教授 (20704480)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トウガラシ / 辛味 / カプサイシノイド / トランスポゾン |
Outline of Annual Research Achievements |
辛味はトウガラシ果実の重要形質である。辛味の強弱に関する嗜好性は、国・地域・用途で異なっており、辛味成分カプサイシノイド含量を制御できる育種技術が求められている。これまでに、生合成経路の一遺伝子であるputative aminotransferase(pAMT)遺伝子の機能欠損がカプサイシノイド含量を激減させることを示した。さらに近年、1.カリブ 原産の栽培種Capsicum chinenseには、トランスポゾンの挿入と転移を介した様々なpAMT変異が存在すること、 2.トランスポゾンの挿入位置が辛味の強弱と相関していることを明らかにしつつある。これら種々のpAMT変異を導入し、その遺伝子マーカーを利用することで辛味程度を簡便に調整できる育種技術を確立できる可能性がある。本研究課題では、pAMT遺伝子の構造変異がトウガラシの辛味低下を引き起こすメカニズムを解明し、それに基づいてカプサイシノイド含量の新規調整法を確立する。 本年度は、辛味系統のレッドハバネロを元にした戻し交雑集団を用いて3種の変異型pAMTとカプサイシノイド含量に及ぼす影響を調査した。結果、戻し交雑集団においても異なるpAMT遺伝子型はカプサイシノイド含量を異なる程度に低下させることを明らかにした。さらに戻し交雑を続けることで、辛味程度だけ異なるトウガラシ系統を育成できると思われる。また研究の過程で、新規のpAMT変異アレルも発見し、塩基配列を調査し、その構造変異を明らかにした。新規アレルにおいてもトランスポゾン挿入が認められ、Capsicum chinenseのpAMTアレルの多様性にトランスポゾンが関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り実験を実施し、戻し交雑集団においても異なるpAMT遺伝子型がカプサイシノイド含量に有意な影響を及ぼすことを明らかにした。またトランスポゾン位置の異なる新規変異アレルも同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
戻し交雑集団での解析を行い、異なるpAMTアレルで辛味程度のみを改変したトウガラシ品種を育成可能であることを示す。 今年度同定した新規変異アレルについて機能低下メカニズムの解析を行う。
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Research Products
(5 results)