2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Feasibility of Woodland Burials as a New Forest Use
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18K05700
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 裕文 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30552343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 樹木葬 / 墓地 / 経済効果 / 山村地域 / 交流人口 / 森林利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に、研究目的(3)「地域的視点での副次的な効果」に対応する形で、日本で最初に樹木葬を開始した岩手県の知勝院と、千葉県の真光寺の里山型樹木葬墓地の会員を対象にアンケート調査を実施し、樹木葬墓地の利用実態とそれに基づく評価、地域への経済効果について明らかにした。具体的には、会員にとっての契約当時の選択理由と、現在の評価の間には大きなずれはなく満足度は高いこと、その中でも,里山の管理や自然の樹木の成長や四季の移ろいへの理解は、実際の利用を通して新たに評価されていることが明らかになった。しかし、契約者自身または遺族の高齢化に伴い、遠方の墓地に通うことの負担が認識されている。それにより、将来にわたる継続的利用への不安も生じている。また、遠方のため墓参の回数自体は少ないが,宿泊や広域観光を兼ねた訪問が中心となっていて、地域の交流人口の拡大に貢献していることも明らかになった。観光消費額に基づいて、樹木葬墓地への墓参りによって地域に与える経済効果を推定したところ、知勝院で年間1.4億円、真光寺で3千3百万円の経済効果をもたらしていることが推計され、地域経済に一定の影響を与えていることが確認できた。 そのほか、研究目的(4)「日本での森林利用型樹木葬墓地の実効性」に対応する形で、大阪府の公益財団法人が新たに開設するドイツ型樹木葬墓地についてアクションリサーチを進めた。具体的には、実際に樹木墓地を整備する上での森林整備や、長期間にわたる森林管理の方法について関係者と意見交換を行い、日本における樹木葬墓地整備の課題を明らかにすることができた。 ドイツにおける樹木葬墓地の研究目的(1)「樹木葬墓地の森林経営としての収益」(2)「低コストで持続可能な森林管理方法」についての追加調査を予定していたが、新型コロナウィルス拡大の影響に伴い、研究期間を延長して実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた追加の海外事例調査については、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い中止し、研究期間を延長して実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツにおける樹木葬墓地の研究目的(1)「樹木葬墓地の森林経営としての収益」(2)「低コストで持続可能な森林管理方法」についての追加調査については、次年度も渡航制限が予想されることから、オンライン調査にて実施を予定している。 そのほか、研究目的(4)「日本での森林利用型樹木葬墓地の実効性」に対応する形で、大阪府の公益財団法人が新たに開設するドイツ型樹木葬墓地についてアクションリサーチを継続する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた追加の海外事例調査については、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い中止したため、次年度使用額が生じた。 次年度も渡航制限が予想されることから、オンライン調査にて実施を予定しており、調査結果の翻訳への支出を予定している。 そのほか、国内でのドイツ型樹木葬墓地についてアクションリサーチを継続するため、旅費への支出を予定している。
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