2018 Fiscal Year Research-status Report
Supply of infrastructural services of agricultural production by using incentive mechanism
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18K05839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インドネシア / 灌漑制度 / インセンティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア、中部ジャワ州、クドゥス県の水利組合では、現地農民によって2003年頃考案されたレランと呼ばれる水利制度が普及している。この制度では、組合が主催するオークションによって組合長を決定し、オークションの落札金を原資に組合管理区域のインフラを整備する。この制度を採用する組合では村や県の支援なしにインフラ整備が進んでいる。初年度はレラン制度の普及の実態把握に向けた調査を行った。調査地に灌漑水を供給するクランブダム灌漑システムは総灌漑面積が38,976 haの灌漑システムで、中部ジャワ州の北部に灌漑水を供給している。ダムはクランブキリ幹線水路、クランブウィラルン幹線水路、クランブカナン幹線水路からなる。それぞれの灌漑面積は20,646 ha、7,872 ha、10,458 ha(2015年時点)である。 レランシステムが考案された水利組合があるクランブウィラルン幹線水路では、2016年時点で、すでにほとんど水利組合がレランシステムが採用されている。政府灌漑官や複数の水利組合への調査より、クランブウィラルンで考案されたレランシステムが周辺の水利組合へ伝播していることが判明した。クランブカナンでは近年レランシステムを採用する水利組合が増加している。普及の理由となっているのがインフラ投資である。特に必要とされているインフラ投資が、用排水路と農道の整備である。調査地域では機械化の進展に伴い、畦道の拡張・舗装化が求められている。また野菜栽培の導入に伴う水利用の変化が用排水路の整備の要望に繋がっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象のクランブダム灌漑システムは約40,000 haの広範囲に水を供給している。そこには末端エリアを管理する水利組合が存在している。初年度はそれらの水利組合に対し調査を行うことを予定していたが、ダムや幹線水路を管理する行政官ですら末端エリアを管理する水利組合の数や管理面積を正確には把握していないことがわかった。しかし、クランブカナンの灌漑官の協力を得て、流域10,458 haを管理する水利組合62件の名前、所在地、面積などの基本リストを入手するとともに予備調査を実施した。次年度以降の調査への準備が整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、作成した水利組合のリストをもとに調査を実行し、水利組合におけるレランシステムの普及の度合いを明らかにする。制度変化の要因や制度変化の効果について農家調査によって明らかにする。
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Causes of Carryover |
調査対象地の水利組合のリストを入手し、農家調査を実施する予定であったが、インドネシア灌漑局の事情により農家リストの入手に時間を要したため農家調査を次年度に延期したことによる。次年度には、農家調査費としてこの繰越額を充当する。
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Research Products
(7 results)