2019 Fiscal Year Research-status Report
Supply of infrastructural services of agricultural production by using incentive mechanism
Project/Area Number |
18K05839
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | インドネシア / 灌漑制度 / インセンティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中央ジャワの灌漑システムのクランブウイラルン水系の水利組合の調査し、灌漑システムの維持管理に関する制度がどのように変化してきたのかを明らかにした。この地域においてはスワクロラとレランという2つの制度が存在する。従来はスワクロラが支配的であったが、最近ではレランが多くの水利組合に普及している。44個の水利組合のうち、1996年時点ではレランはわずか3つの組合で普及していたが、2016年には23の水利組合に普及した。ムラ、水利組合などの地縁集団がレランという新しい制度を構築し、それが普及したといえる。 スワクロラ制度においては、受益者である農民が水利組合長を選出しそのリーダーシップの下で維持管理、インフラ施設の建設に投資するのであるが投資資金不足の問題を解消できなかった。この問題に対処するためにレランが登場した。レラン制度の下では、オークションによってインフラ投資の最大の資金供給を申し出た者が水利組合長に選出される。水利組合長の任期は約4~5年である。投資資金の供給と引き換えに徴収した水利費は水利組合長の所得となる。水利組合長が灌漑水を供給すればするほど、所得は高まるわけで、レランシステムには水供給のインセンティブが備わっている。その結果、土地生産性も高まっていた。 スワクロラシステムとレランシステムにおける投資資金、水利費、維持管理活動、維持管理活動の労働調達方法などについて調査した。水利組合の調査結果によれば、レラン制度の下における投資資金は、オークションによって前払いとして徴収することが可能で、数年間投資資金を積み立てることなく、直ちに投資活動に回せることが大きなメリットとなっていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クランブウイラルン水系において、より詳細な水利組合の調査を実施する予定であったが、新型コロナの影響で調査を延期しなければならなくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、インドネシアやネパールなどの調査が不可能になることが予想されるため、統計データや理論モデルに依拠しつつ、オークションやインセンティブ制度を活用したインフラストラクチャーのサービス供給の可能性について分析する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、予定していた海外調査をとりやめたことによる。次年度に海外農村調査が可能であれば、これに充当する。もし、不可能であれば、データの購入費用などに支出する。
|
Research Products
(4 results)