2021 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the dairy farming systems for sustainability using multiple management and health science indicators.
Project/Area Number |
18K05917
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 博美 (河上博美) 北海道大学, 農学研究院, 研究員 (80466002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 真貴子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (30459672)
佐藤 三穂 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (00431312)
小野 洋 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40446480)
菱沼 竜男 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (40592077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 農業者福祉 / 抑うつ / 酪農生産システム / 性差 / 精神的健康 / 経営要因 / ワークエンゲイジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の遂行により、酪農家を対象に、抑うつの現状と抑うつの関連要因について、男女別に明らかにしました。結果として、抑うつ症状がある人の割合は、男性では 17.3 %、 女性で は 31.7 でした。抑うつに関連する 仕事要因 については、男女ともに、「仕事の過重負担が大きいこと 」「人手不足が心配」など仕事の忙しさに関する要因でした。また、抑うつ症状のある農場経営者は,農業所得率,濃厚飼料の給与,LS(リニアスコア)で評価される酪農経営要因が優れていることが示されました。つまり「管理の行き届いた農場システムほど経営者の精神的健康状態が悪い」ということです。酪農経営におけるもっとも基本的な経営要因である経済性,飼料,乳質は,それぞれが相互に関連しており,単独で改善することは困難です。したがって,"要求の同時性"も重要なポイントとなります。これは,適正な財務状態,牛の飼養環境,乳質の維持が同時に行われることで,農場経営者の心理的ストレスレベルが高くなることが背景にあります。言い換えれば,要求の同時性は,単に経営状態が良いとか,乳質が良いという形では測れないということです。管理の行き届いた農場システムを運営するために適切な技術を適用するには,農場従事者と経営者の多大な努力と犠牲が必要であり,それがストレスの原因となり,増大させる可能性があることが推察されます。 この結果は,「良い経営を営むほど精神的健康度も良い」という従来の定説に異を唱え,経営要因と精神的健康の関係を国内外において初めて明らかにした研究です。しかし,観察研究に基づいているため,残念ながら,因果関係に関する結論を完全に提示することはできていません。さらなる研究が必要です。また,本研究は,北海道に在住している農家のみを対象にしているため日本全体のこととして当てはめることはできません。
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Research Products
(4 results)