2018 Fiscal Year Research-status Report
Risk assessment and pathogenicity of highly pathogenic emerging bornavirus
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18K05991
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 晶子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (30571145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 啓造 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (10301920)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス / 人獣共通感染症 / リバースジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年にドイツで、原因不明の急性脳炎または髄膜脳炎を起こして亡くなった男性3名の検体の網羅的な塩基配列解読により、カワリリスボルナウイルス(VSBV)が発見された(Hoffmann B et al., N Engl J Med, 2015)。死亡患者は3名とも中米原産のカワリリスを飼育しており、VSBVはこのリスが保有していたウイルスが伝播したものと考えられた。VSBVはヒトへ高い病原性を示す新興人獣共通感染症の病原体である。 本年度は、VSBVの病原性発現機構の解明を目的として研究をおこなった。リバースジェネティクス法を用いて、ヒトに病原性が低いと考えられているボルナ病ウイルス(BoDV)とVSBVのキメラを作製し、VSBVのX/P遺伝子を持つBoDVはBoDVよりもラットに対して高い病原性を示すことを明らかにした。このキメラウイルスは、培養細胞においては野生型BoDVと比較して感染の広がりに遅延が観察された。一方、ラットの脳内では、キメラウイルスは野生型と比較して12倍高い力価を示した。また同キメラウイルスは脳内において、サイトカインを野生型ウイルスよりも高く誘導していることが示唆された。実際、BoDVのP遺伝子はpoly I:C刺激による自然免疫の誘導を抑制するが、VSBVのP遺伝子にはその作用がなかった。これらのことから、VSBVのX/P遺伝子がウイルスの病原性に関わり、また病原性発現にはウイルスの増殖とサイトカインの誘導が関与している可能性が示唆された。X/P遺伝子以外のウイルス遺伝子の病原性への関与を評価するため、NまたM/G/L遺伝子のキメラウイルスを現在作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キメラウイルスを用いた評価から、VSBVの病原性に関わるウイルスの同定および病原性発現機構の一端を明らかにした。しかし他の遺伝子の関与は否定できていないため、今後評価する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
キメラウイルス作出に用いる培養細胞を従来はVero細胞を用いていたが、VSBVはVero細胞における増殖性が低いことから、ヒト神経芽細胞腫であるSH-SY5Y細胞を用いてリバースジェネティクスをおこなう。予備的な実験ではVero細胞と比較して10日ほど早く組換えウイルスを作出することに成功している。
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Causes of Carryover |
本年度は材料が集まらなかったため、日本におけるクリハラリスのVSBV保有状況の調査を行わず、次年度へ繰り越した。
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Research Products
(3 results)