2020 Fiscal Year Annual Research Report
Risk assessment and pathogenicity of highly pathogenic emerging bornavirus
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18K05991
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 晶子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (30571145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 啓造 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (10301920)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人獣共通感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトに致死性脳炎を引き起こすリス由来新型ボルナウイルス(カワリリスボルナウイルス;VSBV)は、新しい脅威となる人獣共通感染症の病原体である。日本国内にも、VSBVを媒介する可能性のあるリスが多数生息しているが、これらのリスのVSBVの保有状況は調査されていない。また、VSBVはウイルス分離例が少ないことから、その病原性に関してもほとんど解明されていない。そこで本研究では、本邦におけるVSBVの感染拡大リスクの評価および同ウイルスの病原性発現機構の解明を目的とした。VSBVと遺伝的に近縁であり、ヒトに低病原性と考えられるボルナ病ウイルス(BoDV)の組換え技術を応用し、高病原性のVSBVとのキメラウイルスを人工合成して、ラットにおける病原性を評価した。VSBVのX/P遺伝子を持つキメラBoDVは、野生型のBoDVと比較した高い致死率を示し、脳内ではサイトカインの発現上昇が観察された。またVSBVの人工合成系を確立し、ウイルス学的な特徴づけをおこなったところ、組み換えVSBVはBoDVよりも増殖性が低く、ウイルスの転写複製の場である核内にBoDVと比較して多くのドット状構造物を形成することが示された。神奈川県に生息するタイワンリスの脳を収集して、VSBVのRNA検出を試みたが、40個体のタイワンリスからは同RNAは検出されなかった。これらの結果から、VSBVはBoDVよりも高い病原性を示すが、野生のタイワンリスにおける同ウイルスの保有率はさほど高くない可能性が示された。VSBVに感受性を示すリスは他にも日本に生息するため、さらなる調査が必要であると考えられた。
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Research Products
(5 results)