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2019 Fiscal Year Research-status Report

インスリン受容体の選択的スプライシング調節を介した新規シグナル伝達制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 18K06012
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

片岡 直行  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60346062)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsインスリン受容体 / 選択的スプライシング / シグナル伝達 / スプライシングレポーター
Outline of Annual Research Achievements

インスリン受容体(IR)は、エクソン11の排除/包含の選択的スプライシングにより、IR-AとIR-Bがそれぞれ産生される。この選択的スプライシングパターン
は、ヒト、ラット、マウスで保存されている。また、IR-A/IR-B比は組織によって異なっており、IRの選択的スプライシングは種を超えて保存され、発生段階や組織特異的な制御を受けていると考えられる。
我々は、ラットIR遺伝子のうち、選択的スプライシングを受けるエクソン11とその両端のイントロン領域(上流および下流それぞれ500塩基長程度)を用いたレポーターを作製した。ラット肝がん由来H4IIE細胞ではIR-Bがほとんどであるが、作製したスプライシングレポーターをH4IIE細胞に導入したところ、内在性IR遺伝子と同じくIR-B型のスプライシングを示すことを確認した。そしてスプライシングレポーターへの様々な欠失の導入から、イントロン11内に、Rbfox2の結合部位を見出し、エクソン11の包含を促進することを明らかにした。さらに、H4IIE細胞ではRbfox2とSRSF3によってエクソン11の包含が起こっていることを明らかにした。これらの結果を論文としてまとめ、現在投稿準備中である。加えて、ラットIR遺伝子のエクソン10から12までの全長領域を持たせたスプライシングレポーターを作製できた。さらに、様々な細胞培養条件を試し、内在性のインスリン受容体の選択的スプライシングをIR-BからIR-Aに変化させる条件を見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題では、核内のイベントである選択的スプライシングと、外界からの刺激によるシグナル伝達という細胞質内過程との連携について、インスリン受容体
の選択的スプライシング機構とバリアント間の生理的意義の差異の解析を通して明らかにすることを目的としている。そのため、インスリン受容体の選択的スプ
ライシング機構を解明することが必要不可欠となる。現在までのところ、スプライシングレポーター作製に成功し、ラット肝臓由来細胞H4IIE細胞におけるイン
スリン受容体におけるエクソン11の包含機構について、制御配列と制御因子を明らかにすることができた。今後は神経系細胞でのこれらの因子の発現や、外界か
らのシグナルによる変化へとつなげることができる。また、スプライシングレポーター作製が成功したことにより、インスリン受容体のエクソン10から12にまたがる領域すべてを持たせたスプライシングレポーター作製へと繋がった。また、ある条件下でインスリン受容体の選択的スプライシングパターンが劇的に変化する条件を見出した。その条件下で、この全長レポーターを用いることで、外界からのシグナルに応答する領域を同定できると期待される。以上の進捗により、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

これまでにインスリン受容体の選択的スプライシング機構の解明が順調に進展しているため、当初の計画通り、神経系細胞および筋肉系細胞でエクソン11が排除される機構の解明と、外界からのシグナル(インスリンやインスリン様成長因子刺激やアミノ酸飢餓)によりインスリン受容体の選択的スプライシングが変化する機構の解明を目指す。具体的には、昨年度作製した全長のスプライシングレポーターを用いることにより、エクソン11の排除に必要な制御領域の同定と、その制御因子群の同定を行う。また、外界からのシグナルに応答して選択的スプライシングパターンを変化させる領域およびその結合/制御因子群の同定にも用いる予定である。そしてインスリンからのシグナルを仲介する分子であるIRS-1と相互作用するIRSAPsと今回同定したスプライシング調節因子Rbfox2, SRSF3との相互作用についても検討する。さらに、CRISPR/Cas9システムを用いて培養細胞においてIR-A,Bそれぞれの特異的ノックアウト細胞の樹立の試みを開始する。樹立できた場合、外界からのシグナルに応答したシグナル伝達系や細胞増殖等の解析を行い、IR-A, IR-Bの生理的意義の差異の解明を目指す。

Causes of Carryover

抗体の購入を予定していたが、コロナウイルス禍で製品の納入が昨年度内に間に合わないと判断し、購入を次年度に持ち越したため。今年度の物品納入が再開され次第、購入し、研究に用いる予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Multiple nuclear localization sequences in SRSF4 protein2020

    • Author(s)
      Masaki So、Kabuto Takafumi、Suzuki Kenji、Kataoka Naoyuki
    • Journal Title

      Genes to Cells

      Volume: 25 Pages: 327-333

    • DOI

      10.1111/gtc.12756

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Myelodysplastic Syndrome-Associated SRSF2 Mutations Cause Splicing Changes by Altering Binding Motif Sequences2019

    • Author(s)
      Masaki So、Ikeda Shun、Hata Asuka、Shiozawa Yusuke、Kon Ayana、Ogawa Seishi、Suzuki Kenji、Hakuno Fumihiko、Takahashi Shin-Ichiro、Kataoka Naoyuki
    • Journal Title

      Frontiers in Genetics

      Volume: 10 Pages: 1-8

    • DOI

      10.3389/fgene.2019.00338

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Mechanism for hypoxia-response through alternative splicing regulation2019

    • Author(s)
      片岡 直行、伊藤 美佳子、増田 章男、大野 欽司、江口 加代子、伯野 史彦、 高橋 伸一郎、中山 恒
    • Organizer
      第42回日本分子生物学会年会
  • [Presentation] 低酸素条件下における選択的スプライシング機構の解明2019

    • Author(s)
      片岡 直行、伊藤 美佳子、増田 章男、大野 欽司、江口 加代子、伯野 史彦、 高橋 伸一郎、中山 恒
    • Organizer
      第21回日本RNA学会年会
  • [Book] Applied RNA Bioscience (Editors: Seiji Masuda, Shingo Izawa)2019

    • Author(s)
      Naoyuki Kataoka
    • Total Pages
      286
    • Publisher
      Springer Nature
    • ISBN
      978-981-10-8372-6

URL: 

Published: 2021-01-27  

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