• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

細胞の老化と若返りを支配するリボソームRNA遺伝子の不等分配に関する研究

Research Project

Project/Area Number 18K06056
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

堀籠 智洋  東北大学, 農学研究科, 助教 (10771206)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
KeywordsリボソームRNA遺伝子 / rDNA / 核膜 / 老化 / 若返り / マイクロ流体チップ
Outline of Annual Research Achievements

課題1 核膜がrDNA安定化に果たす役割の解明
修復が困難なDNA二本鎖切断(DSB)は核膜に移動して核膜孔と結合し、ゲノムの安定性が維持されている。巨大な反復配列であるリボソームRNA遺伝子(rDNA)では、複製阻害点において複製フォークの停止とDSBが高頻度に引き起こされる。本研究では、rDNAの安定化に果たす核膜の役割について明らかにする。前年度までに、複製阻害とそれに引き続くDSBがrDNAの核膜孔結合を引き起こすことを明らかにした。核膜結合はrDNAの安定性維持に寄与していた。これらの成果を論文としてまとめて雑誌PLOS Geneticsに報告し、また雑誌Current Geneticsにてその内容の科学的位置づけを解説した。この研究の次の展開として今年度は、核膜とrDNAの結合が酵母複製寿命に及ぼす影響を調べるためマイクロ流体チップを用いた解析を試みた。一部の変異株においてマイクロ流体チップでの寿命測定が技術的に困難であったため、設計の異なるマイクロ流体チップを用いて寿命測定を行っている。

課題2 マイクロ流体チップを用いた「老化・若返りの瞬間」の解析
本研究では、蛍光顕微鏡観察により不安定なrDNAを持つ老化した母細胞から安定なrDNAを持った娘細胞が生まれる瞬間を解析する。今年度は老化した細胞とその娘細胞におけるrDNAの蛍光強度を解析した。老化した細胞ではrDNAが染色体外環状DNA (ERC)として蓄積して老化を誘導すると考えられている。老化細胞における細胞分裂を観察したところ、母細胞・娘細胞においてrDNAのヘテロクロマチン化の状態に違いがあることを示唆する結果を得た。現在この不均等性についての解析を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルスの感染拡大により2020年4月より非常事態宣言が発出され6月まで研究室で実験をすることが不可能であったことと、研究代表者が2020年10月に異動したことに伴う準備と研究環境立ち上げに時間を必要としたことから研究に軽微な遅れが生じた。しかしそのような中でも以下の成果を得ており、研究はおおむね順調に進展している。
課題1については予定していた目的の主要な部分を達成し、論文としてまとめることが出来た。予定よりも早い進捗である。マイクロ流体チップを用いた寿命測定については用いる変異株によっては困難があったが、設計の異なるチップに切り替えて解析している。
課題2についてもおおむね順調に進展している。細胞をビオチン標識して老化細胞を選別する方法を用いて老化細胞から娘細胞が生まれる瞬間をとらえることに成功し、rDNAのヘテロクロマチン化の状態に母・娘細胞間での違いがあることを見出した。

Strategy for Future Research Activity

課題1: rDNAが核膜に結合できない酵母株の分裂寿命について、いくつかの異なる設計のマイクロ流体チップを用いた解析を行う。またMps3-lacIなどの融合タンパク質とrDNAに配したlacO配列との結合を用いて人為的にrDNAを核膜に結合させ、その安定性への寄与を調べる機能付加型実験を行う。
課題2: rDNAのヘテロクロマチン化の状態が母・娘細胞で偏りがあることが示唆されるデータを得ていることから、様々な変異株を用いた顕微鏡解析によりこの不均等性に関わる因子を同定する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由: マイクロ流体チップに掛かる費用を計上していたが、緊急事態宣言に伴う研究室の閉鎖により、今年度はチップを用いた老化細胞解析が予定よりも少なかった。そのため物品費の使用が少なくなった。
使用計画: マイクロ流体チップを用いた課題1における核膜結合の細胞寿命への影響の解析と、課題2における老化細胞における不均等分配に関する顕微鏡解析が本格化する。そのための物品費が必要となる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] DNA損傷依存的な姉妹染色分体間接着への核膜孔の関与2021

    • Author(s)
      折原行希,高橋大輔,小西辰紀,尾間由佳子,島田健士, Susan M. Gasser, 原田昌彦, 堀籠智洋
    • Organizer
      日本農芸化学会 2021 年度大会
  • [Presentation] DNA損傷依存的な姉妹染色分体間接着への核膜孔の関与2021

    • Author(s)
      折原行希,高橋大輔,小西辰紀,尾間由佳子,島田健士, Susan M. Gasser, 原田昌彦, 堀籠智洋
    • Organizer
      第38回染色体ワークショップ・第19回核ダイナミクス研究会
  • [Presentation] 細胞の老化と若返りを支配する、リボソームRNA遺伝子の不等分配に関する研究2020

    • Author(s)
      堀籠智洋, 小林武彦
    • Organizer
      第53回酵母遺伝学フォーラム研究報告会

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi