2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒノキ科植物由来花粉-食物アレルギー症候群原因抗原ペプチドBP14の解析
Project/Area Number |
18K06074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相沢 智康 北海道大学, 先端生命科学研究院, 教授 (40333596)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレルゲン / 花粉 / 果実 / GRP / BP14 / ペプチド / 立体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒノキ科植物の花粉症の原因抗原として新規に同定されたGRPファミリーペプチドBP14を対象とし、その分子レベルでのアレルギー誘発機構、特に、花粉症が原因となって誘発される花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)との関連を明らかにすることを目的とする。 BP14遺伝子のクローニング、遺伝子組換えペプチドの大量発現、抗BP14抗体の作製、BP14の立体構造解析、抗体との相互作用解析およびエピトープの同定など、蛋白質科学的手法を用いて、植物界に広く存在するBP14およびそのホモログであるGRPファミリーペプチドのアレルゲンとしての振る舞いを分子レベルで明らかにする。本研究で得られるBP14に関する知見は、新規診断技術の開発や花粉症治療薬への応用にもつながる基礎研究となることが大きく期待される。 本年度の研究として、イトスギ花粉のRNA-SeqによるBP14およびそのホモログの遺伝子同定及び同定遺伝子の組換えペプチドの発現系の構築に関する検討を進めた。その結果、BP14の遺伝子とその新規ホモログの同定に成功した。BP14の遺伝子配列についてはデータベースへの登録を行い、WHO/IUISのデータベースにアレルゲンCup s 7として登録された。また、Cup s 7の遺伝子組換え発現系を構築することで、患者血清に対する反応性の詳細な検討、NMR法による立体構造解析等を進めた。さらに日本のスギの遺伝子情報を基に、GRPファミリーペプチドの探索と組換えペプチド発現系の構築を行い、そのアレルゲン性についての検討を進めた。その結果、スギ由来のGRPファミリーもCup s 7と共通の抗原性を有することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
イトスギ花粉のRNA-Seqにより、現在まで未知であったBP14の全長の配列の同定に加えて、多数の新規ホモログの遺伝子同定にも成功した。加えて、日本のスギ花粉に含まれるGRPファミリーペプチドもBP14と共通の抗原性を有し、日本人のスギ花粉症においてもアレルギーの原因抗原となっている可能性を示唆する結果も得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果で得られた組換えBP14ペプチドを用いて、その抗原性に関して詳細な検討を進める。特に花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)との関連で重要なエピトープ同定に関連して、変異体解析や立体構造、相互作用解析を進める。また、日本のスギから得られたBP14と共通の抗原性を有するGRPファミリーペプチドについても、さらに詳細な解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に応じて研究費配分行ったためで、翌年度以降の進捗に応じて使用する計画である。
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Research Products
(2 results)